それから他愛もない話をしながら自転車を漕いで、もう、5分弱
「って事なんだよね〜」
「あ、たしかに分かる」
「あ、じゃあね」
「おう、じゃあな」
十字路を左に曲がる
本当は、もう少し話したいなとは思ったけど、もうすぐ家だという嬉しさに、口を緩ませる
▲▼▲▼
「〜それでね!」
嬉しそうに話す夜音は、見ていて楽しい
でも、こいつは友達。
この距離が1番いい
告白して、友達という関係から恋人に変わった時、今ある何かが壊れてしまう気がする
それが怖い
俺は、臆病だ。
失敗や悲しさから逃げで、チャンスを逃す
それは月に対しても同じだ。
夜音と月は同じ。
でも月は夜音と違う
月は誰にでも優しいから、今の関係が発展してもしなくても今と変わらず、俺に微笑んでくれるだろう
でも夜音は違う。
ああ見えて夜音は、一定の人にしか心を開かない性格だ
これで俺との関係が気まずくなったら、離れていくに違いない
それだったら、夜音は今の関係が1番いい
だからこそ、夜音には、恋心は抱かなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。