声を掛けてきたのは、小学校からの幼なじみの奏だった。
「夜音、1人?」
「うん、そうだよ」
「帰らない?」
「一緒に?」
「うん」
短い会話だか彼と話すにはこれくらいが丁度いい
「いいよ 帰ろ」
「自転車持ってくるからまってて」
「んー」
と言って、奏は自転車を取りに行った
どうやら話しかける前に準備は終わっていたらしく、直ぐに戻ってきた
「行ける?」
「うん」
自転車にまたがって学校から飛び出した
門から出る前に、別のクラスの友達がからかってきたけど、舌打ちだけしといた。
私は奏に恋愛感情は、ない
ただの友達としか思ってないから
学校の近くの歩道橋を降り、車の少ない細い田んぼ道を走る。
住んでいる所がそれなりに田舎なため田んぼはよく目にする。
田んぼを抜けると大通りの歩道に出るが、田んぼ道はまだ続きそうだ。
照りつける太陽の光に早速汗を流しながら、自転車を漕ぐ。
もちろん隣には奏の自転車。
「宿題貰った??」
「え、私、まだ英語の貰ってない」
「あー俺も英語は貰ってないや」
「今日から始める?」
「うーん…多分やると思う…」
話す内容に特別な事はない
普通に友達と話す内容ばかりだった
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。