神山side


ある日、

忘れかけていた恋が、

また歩き出した。





俺、神山智洋。

大学3年、平凡な日常。


だった。



ある日、彼に再開するまでは。




彼は、俺のバイト先のカフェに来た。

澄んだ瞳には、きっと俺は映っていない。










物理的、な観点からも。


















彼は、生まれつきの盲目なんだ。

光が少し入るだけで、何一つ見えない。

生まれつきだから、人を見た事もなくて。


俺の2年先輩で、もう卒業し働いている。

















俺は、彼と付き合っていた。
















俺が近づく度、綺麗で眩しい、

なんて、自分なりのアプローチを何度も受けた。


それが、どれほど嬉しかったか。


目が見えないからこそ、

その瞳を美しいなんて思ったし、

ただ、流星だけを愛していた。



そんな、時に。




♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜

ｷｷｰｰ！！！！



ﾄﾞﾝｯ！！！





ﾄﾞｻｯ

車に、轢かれて。






彼は、俺の事を忘れた。

鈍い音と共に、彼は少し飛ばされた。

光しか入らなくとも、
俺だけを見つめていたその目が、


正確に誰も映す事はなくなった。

軽度の認知症。

事故による頭蓋骨の怪我に、
足も軽く折れた。

胸が、苦しくて。



先生によると、
昔を覚えている人が近くにいると、

遠慮、してしまう、とか。

俺の事、知らないままから始める、とか。

彼にも、精神的なストレスが
来る可能性がある、とか。







流星のためになるなら、

負担なんてかけたくないから。


なんて思って。


退院するまでの世話しかしなかった。







彼には、見習いの看護師、
なんて思われているのだろう。

彼は、もう少しで車椅子を卒業できる。

彼は、リハビリを頑張った。


元からの頑張り屋なんだ、

幼なじみ（交流は無かったけど）

だったから、一方的に憧れてたから、

知ってる。

プライドも高いから、
車椅子から立ち上がりたくて。

立ち上がった瞬間、思わず抱きしめた。

あの時の笑顔が、


戻った気がして。

でも。










もちろん、彼は俺を思い出すことはなく、

無事退院した。

こんなことなら。

好きにならなければよかった。



縁をきった。

彼を、忘れさろうと。


俺は、こんな性格だから。

忘れていた。





嫌なことが、脳から消え落ちた。



俺も、流星の事故のトラウマで
フラッシュバックすることが分かった。



それをしないため、なのかな。






完全に記憶から消えていた。

♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜♪。.:＊・゜

じゃあ、なんでバイト先にいるんだ、


忘れているから。

見えないから。




俺は、忘れていたのを思い出してしまった、

というのに。

彼は、キョロキョロと当たりを見渡す。



頼んだものを、持ってきたんだけど、？

看護師体験←（（

の時のおかげか、全く敬語に慣れてしまった。

彼の目線の先には、
光なんて当たるはずのない、

普通の壁。

つけていた時期もあった、

だが、流星と付き合ってからは、

目の、光からの保護のため、

外していた。



あれきり、ピアスも開けてないし、

空いていた5つの穴も塞がった。

ネックレスも、しなくなったし。




流星と付き合っていた頃からの名残か。


今思えばそうだ、

アクセサリーへの興味が薄れた。


ショップに行っても、特に見なくなった。

見えないはずの俺をまじまじと見つめ、

小首を傾げている。

え、？

その後、特に何も話さず、


彼は帰っていった。






白杖を持って、慣れた様子で。

なんて、独り言を言わせないで、

end













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よく分からんくなった←