前の話
一覧へ
次の話

第1話

今すぐ会いたい / 友達のやぶくんと。
341
2018/07/01 06:50
いろんなことを調べたり、



新しいことを知ったり、



そうやって知識を増やしていくのが



元々おれは好きなんだけど、



『ねぇ、知ってる?? 今日授業で出てきた…』



「え、? お城?の話?」



たぶんたいして興味がなくても、



「へぇ、そうなんだ!!」って



目をおっきくして、



「やぶくんって、ほんとに物知りだよね」



って、笑ってくれるから、



話すきっかけと、話し続ける理由と、



話が終わらない方法を、



……いつも探してる



『やぶくん、帰んなくていいの?塾、あるんでしょ?』



「ん?? んーまぁ……でも、もう少し大丈夫、 」



『てかなんで図書委員になったの?』



「……別になりたかったわけじゃないよ、」



そうなんだ。



けど、おれは、あなたちゃんが、



図書委員でよかったな、



放課後の図書室なんて、



ざっと数えられるくらいしか人がいないから



二人きり、みたいなもの



「そういえば……」


『……、』


「おーい、聞いてる?」


「え、あ……ごめん、」


あなたちゃんの目線の先には


クラスメイトの女の子達とたかき。


たぶん、あなたちゃんは


たかきのことが好きなんだと思う。


もやもやしたまま、


塾へ向かった。


面白くもない先生の話がやっと終わって


ふと、携帯を見ると1つのメールが


あなたちゃんだ、


『今日、塾終わったら会える??』

「うん、会えるよ」


返信すると既読がすぐついて、


『やぶくん家の近くのマックで待ってる』


嬉しくて、いつもより早い時間でマックについた。


テーブルに頬杖をついて


遠くを眺めているあなたちゃん。


「ごめん、遅くなった、」


気まづくて、下を向くと


冷たくてしなしなになっているポテト


そんなに待っててくれたのかな、


そう思ってまた嬉しくなる。













───────────────────











『あのね、私…』

プリ小説オーディオドラマ