レッドカーペットの上を慣れないスカートを上まで持ち上げて走る。
そのとき、赤黒いオーラと共に背後に居たはずの男性がゲート前に移動してきた。
俺は走っている足を止められず、男性の刃を真正面にくらう。
意識が薄くなり、その場に這いつくばる様に倒れ込んだ。
彼を見た瞬間、心を撃たれた。
無理をしてるようにドレスを着込んで、右目には真っ赤な薔薇が咲いていた。
私は彼のことに興味があった。
右目に薔薇が咲いていることは初めて知ったが、より興味が湧いてきた。
と、待機場所では思っていたんですが。
刃を真正面にくらった彼は苦しみを我慢した、悲しそうな表情だった。
彼は花弁が散るように倒れ、意識を失った。
私はもっと絶望した様な、痛みに苦しむ姿が見たかった。
しかし、自分の心の中で何かを感じた。
と、ただ苦しむ表情を彼なりの苦しみを見てみたいだけだが、そう思った。
私は彼を風船にくくりつける。
脱出口は北ゲート前の方だった。
私は彼から風船を解き、お姫様抱っこをする。
そう言って私は彼を脱出口へ落とした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!