___竜胆side
あれから2日後、あなたの熱は下がり、
彼女も以前よりも素直になってきた。
今は彼女が作ったお菓子の味見をしてる。
彼女の話から察するに目の前にある、
このお店に売ってそうな見た目の
カボチャプリンは見様見真似で作ったって事だろう。
絶対に器用だし料理上手いな。
こんど手伝わせよっかな…。
プリンを食べ進めながら考えていると、
台所の入口からマイキーが入って
まじまじとオレのプリンを見ていた。
テーブルの上にぽつんと置かれた紙袋。
今朝仕事前にヤク中がパシられて
買ってきたたい焼き達。
オレのプリンから目を離さないマイキー。
あなたが気を遣って聞くと、
こくんとそれに頷くマイキー。
一口食べてその一言を零し、
再びスプーンを進めるマイキー。
彼女も安心してるらしい。
まあマイキーの食生活見ると分かるけど、
好き嫌い多いし偏りが凄い。
マイキーの飯は大抵オレと鶴蝶で
仕事が空いてる方が作ってるけど兄貴より面倒い。
少し前までマイキー専属の奴が居たけど、
そいつもマイキーの食生活に追いつけなくて
すぐに別の仕事に回った。
竜胆&あなた 『はや』
オレより後に来たはずなのに
あっという間に間食してしまったマイキー。
あなたは黙々とマイキーのカップを
片付けようとする。
オレンジジュースを飲みながら一息つくマイキー。
すると黙々と手を動かすあなたの方を見始める。
突然の質問に困惑しながらも返答するあなた。
オレは一人、その質問の先にあるものに
嫌な予感を感じながら無言で見守る。
まあ大体予想はしていた。
彼女は困惑しながらこちらに
救いを求める目でサインを送る。
でも「はい」って言ったらおしまいなんだよ。
いや、そもそと拒否権なんてない。
オレは指で小さくバツを作り彼女にサインした。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。