第52話

試食の儀式
3,034
2021/10/04 13:25






___あなたside
あなた
ねえ、蘭聞いてる?
蘭
んー?
メールだろうか?

相手はどうせ何処の馬の骨ともしれない
ケバくて香水臭い女だろう。
あなた
……もーいい。鶴蝶のとこ行く。
そんで今日は鶴蝶と一緒に寝る。
ふいと顔を背け、横目で彼を見る。

すると彼は既にスマホを置き眼前まで迫っていた。
あなた
わっ
蘭
びっくりした?♡
あなた
……もう。
物凄くしてやられ感があって、思わず蘭を強く睨む。
蘭
ごめんな。んで何?
あなた
だから〜、首領の夜ご飯作る事になった!
すると今までの反応なんて嘘みたいに
目を見開いた。
蘭
オレですらお前の手料理食べた事ない…
あなた
え、そこ?
蘭
あなた以外なら、失敗したら殺されてそうだけどあなたなら大丈夫だろ。
なんて能天気に抜かす蘭。
絶対大丈夫じゃないと思い、
蘭に首領の好物を聞いてみた。
蘭
あ〜、マイキーオムライス好きだよ。旗付きの。
あなた
はい?
蘭
だから、旗付きオムライス
オムライスは理解できるけど、
『旗付き』という単語に脳が追いつかない。
眉を寄せて困惑していると、
蘭が耳元に近づきコソッと言葉を紡ぐ。
蘭
マイキーって中身はガキっぽいとこあるから♡
あなた
…ほ、ほう(?)
でも分からなくはない。
なんてったってどら焼きとかたい焼きとか
かぼちゃプリンなんて食べる人だもん。
中身はゴリゴリの悪人って訳でもなさそう。
蘭
あ、あなたちゃんと薬呑んだ?
あなた
うん!蘭って過保護だね。
あの日から一日に何度も聞いてくる蘭。
今までずっと薬呑んで来たから忘れるなんて事
中々ないけど、頼りにはしてる。
蘭
ねえねえ、オレにはなんか作ってくんねえの?
あなた
あ〜、練習でもしとこうと思うから試食してくれる?
蘭
え、女神?
試食だけで何を大袈裟な…。
既にテーブルを囲う一つの椅子に座り
「待ってます」と言いたげな蘭にため息をつきつつ、

蘭の部屋の台所を渋々借りることにした。
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