第51話

自然体
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2021/10/04 10:17







___蘭side
仕事から普段より早く上がり、
自室のソファーにくつろぎテレビをつける。
そこに『行方不明の女子高生』と大きく
デロップが掲げられている。
ニュースキャスター
一週間前、登校したきり帰ってこない
現在行方不明の如月あなたさん。
呼び慣れた名前と見慣れた顔が画面に移る。
彼女の情報をニュースキャスターが淡々と
読み上げていく。その中には偽りもある。
まもなくすると彼女の母親と友人が映る。
『この親、まだ生きてたのか。』
闇金に追われる身だからそろそろ死んでると
思ったが、思ったよりしぶといらしい。
まあ遅かれ早かれ死ぬか。
あぁ…どうして…どうして娘が…。
お願いです。娘を…捜すのに協力を…
辛そうな演技をし、娘想いの母を演じる女。
クラスメイト
あなたちゃん、優しかったんです。
クラスの人気者で…頭も良くて…
クラスメイト
すごく心配です。
知ったような口であなたの事をペラペラ語る
クラスメイト達。
『くだらねえ』
このメディアにあなたの虐待とイジメの
証拠を今にも言ってやりたくなったが、


今となっちゃコイツらとあなたは関係ない。
1つたりともあなたを知らせる気にはならない。
you
you
蘭?帰ってるの?
一枚壁を挟んだ向こうの入口からあなたの声がする。
オレはテレビを消し、彼女の呼び掛けに返事をした。
あなたが大好きな蘭ちゃんは帰ってきてるよ〜♡
切れたクスリはちゃんと貰いに行って、
彼女の病気の事を知って、
もう彼女一人で重い病気を背負ってない。
周りと自分の為に貼り付けた笑みもない。
そこにはごく自然で、他より少し多才な
如月あなたという人間が居る。
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