___蘭side
話してる最中、彼女は、
一度もオレを見ることは無かった。
正確に言えば、目はあっていたはずなのに
彼女の目はどこか遠くを見つめていた。
彼女が大将を特別に想ってるのは分かるが、
好いてるかどうかは
よく分からなかった。
表情も読み取れなかったし…。
でも鶴蝶から聞いた話と今の話を
照らし合わせると、
大将は満更でもなかったんじゃないかと思う。
すると、少し考える素振りを見せて
まもなくして頬をほんのり赤く染める。
ホントの笑顔も涙も中々見せないのに、
大将の事になると女の子らしくなる彼女。
そりゃあ好きな奴の事考えたら
女は皆そうなるか。
オレの前で簡単に股を開く女達もそうなんだから。
ギロっと一瞬オレを睨むと、
彼女はスっと立ちその場から去ろうとする。
オレはそんな彼女の手を掴んで
「返事はー?♡」とからかう。
大将の女とか手出したら
あの世にいった時殺されそうだな〜。
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!