私は華宮先輩ともう何度目かのデートをしている。
あれから少し月日が経ち、私は高校を卒業して
大学生になる。
もちろん華宮先輩…ううん悠里とは上手くやっている。
それどころか一緒にいる時間が増えたことによ
って沢山悠里のことを知れた。
そう言って私に上着をかけてくれる。
優しいのは変わらない。
私がそう言うと顔を赤らめる悠里。
赤らめたと思ったら今度は余裕の笑を見せて
私の頭をクシャクシャと撫でる。
冷たい悠里も好きだった。
心の内に秘めてる優しさがあるって知ってたし
たまに優しくしてくれる悠里もかっこよかったから。
だけど優しい悠里も好き。
上手く伝えられないけど、私はどんな悠里も好きなの。
うう…
いつか悠里のせいでキュン死しちゃうかもしれない。
私と悠里はどちらからともなく手を繋ぎ
ライトアップされた道を歩く。
好きな人と隣に居られること。
こんな些細なことかもしれない。だけどそれが
どれだけ幸せなのか私は知ることができた。
諦めようと…この気持ちは無かったことにしようと思ったことだってあった。
だけどあの時諦めなくてよかった。
今はただそう思う。
私は繋がれた手を強く握る。
____冷たくて優しい悠里が
今もこの先もずっと好きです____
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!