「宮音さん!」
先生に名前を大きな声で呼ばれ思わず立ち上がる。
「またボーッとして!この問題解けるわよね?」
もちろん、授業を聞いていなかった私が答えられるはずがない。
謝って聞いていなかったことを正直に言って座ればいい。
それができないのは、この先生だから。
この先生は無駄に課題を出すのが好きな先生
きっとここで聞いていなかったですと言えば
1週間分の課題を出してくるだろう。
困り果ててどうすればいいのか悩んでると
トントン
私の隣の席の男の子…私の幼馴染である
友也が答えを書いたノートを見せてくれた。
「4√3です」
「あ、合ってます…座りなさい」
どこか顔が引きつってる先生。
だけど友也のおかげで私の地獄は回避された。
休み時間。
友也の言う通りこれが初めてではない。
私自身思うけど、私は華宮先輩に夢中だ。
それは周りが見えなくなるほど
どこか腑に落ちない顔をしている友也。
悩み事でもあるのかな?
その時は友也の気持ちに私は気づかなかった
私は相変わらずぶっきらぼうな先輩の隣を歩いて帰路に着く。
何度か華宮先輩と帰ったことはある。
いや…勝手に着いてったことはある。
うう…
厳しいお言葉…
あ!!
華宮先輩が笑った!!
華宮先輩は笑を消す。
あー…もったいない。
もっと見たかったのに…
華宮先輩は必ず私を家まで送ってくれる。
本当に優しい。
不器用な優しさが私をくすぶる。
やっぱり好きです…
諦めるなんてできるかな?
私は帰る華宮先輩の背中を見つめそう思った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。