イノシシが突進するかのように私はまっすぐ
華宮先輩に向かって走り出す。
だけど…
華宮先輩は私に見向きすらしない。
いつもなら冷たい態度だけど 返事は返してくれる。
だけど今日は…
呆れたようにそう呟く華宮先輩。
そんな私の声は誰にも拾われず
華宮先輩も私から離れていった。
あぁ…
駄目だ…涙が…
卒業まであと2日。
私は…ついに華宮先輩に嫌われてしまった。
誤解なのに…でも…これでいいのかな?
華宮先輩はずっと私に付きまとわれて嫌だったよね…
この気持ちにはもう踏ん切りを付けよう。
この2年間。
華宮先輩に恋してよかった。
そしてまだ少し腫れている目で教室に行く。
友達からはどうしたの?と聞かれた。
だから
そう嘘を付いてしまった。
この涙が失恋だと知られるのが嫌だった。
どうやら友也にはバレたみたいだけど
この嘘を貫き通した。
明日は華宮先輩の卒業式。
2年間の想いの最終日。
明日、私は想いを伝えないが笑顔で華宮先輩を見送ろうと思う。
だって嫌われたとしても華宮先輩は私の初恋で
大切な先輩だから。
きっと涙でクシャクシャになるかもしれない。
明日で最後。
そう思うとやっぱり胸がキュッとなる。
いっそ明日なんて来なければいいのに。
そう心のどこかで思う私が居る。
_____先輩…好きです______
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。