第3話

count.5☆゚
181
2018/02/20 10:30
午後のかったるい授業をどこか遠くで聞きながら私は窓の外の校庭を眺め見る。

ウトウト…

瞼が重いが、私は必死に耐える。


校庭でサッカーをしている華宮先輩をボーッと眺めながら私は華宮先輩との出会いを思い出す。


入学式の登校中。

ウキウキしていた私はついはしゃぎ、転んでしまった。


派手に転んだわけではなかったものの、つい足を捻ってしまった。

立ち上がろうにも 捻った足首がジンジンして立ち上がることができない。


きっと歩けないほどでは無いはずだけど
力を入れにくい。


周りには誰も手を貸してくれる様な人は居ない。

このままじゃ入学式にも間に合わないかもしれない。


目の淵に涙が溜まる。

あぁ…すごく楽しみだったのに。

高校生の入学式。


初日に遅刻なんて…それに…痛い


惨めで辛くてどうしようもない時、私に近づいて声をかけてくれたのが…
華宮 悠里
華宮 悠里
おい。
何してんだ
華宮先輩だった。
宮音 蒼
宮音 蒼
あの…足を捻ってしまって
華宮 悠里
華宮 悠里
はしゃぎ過ぎだ
そう口では冷たく言っていたものの
華宮 悠里
華宮 悠里
ほら。
乗れ
肩を見せてそう言う男の子。
宮音 蒼
宮音 蒼
えっ!?
いや、私…
華宮 悠里
華宮 悠里
うるさい。
こっちも遅刻かどうかがかかってる。
早くしろ
優しいのか強引なのか分からない彼の対応に
戸惑ったものの、私はお言葉に甘えることにした。
あぁ…ダイエットしておけばよかった…

私は何故か温かい彼の背中でそう思った。
宮音 蒼
宮音 蒼
あ、あの!
ありがとうございました!
華宮 悠里
華宮 悠里
あぁ
無事、入学式にも間に合った私は
彼にそう伝えた。

私の通う学校の制服を着ていたし、きっとうちの生徒なのだろうか。


私は何故か高鳴る心を押さえ、そう思った。
そう。あの時、あの瞬間から私は…

華宮先輩に恋をした__________

プリ小説オーディオドラマ