第72話

胡蝶蘭【まふまふ】
1,191
2020/03/05 07:41
あなたside
あなた
あなた
!!
目の前にはカッターと鬼の形相の萌子さん。
そして、まふ君の声とそらるさんの声。
あぁ、私刺されるのかな。



………勇気だしたけど、結局駄目だったな…。
そう思って、ギュッと目をつむる。




………が何故か痛みはなく、
あなた
あなた
………?
さっきまで掴まれていた胸ぐらが離された感覚がした。
な、なんで………?
そう思いゆっくりと目を開く。
あなた
あなた
………!!
まふまふ
まふまふ
え……。
そらる
そらる
は…?
萌子
萌子
う、嘘……
天月
天月
うっ………
あなた
あなた
天月君!!
目を開いた先には、お腹にカッターが刺さった天月君が立っていた。
萌子
萌子
そ、そんな!
私、天月君の事刺そうとなんて………
萌子さんが天月君の方へと駆け寄る。
萌子
萌子
なんで……
なんでこんな女のために!!!
天月
天月
っ………僕は……あなたちゃんの事、守るって決めてるから………
萌子
萌子
そんな……そんな………!!
萌子
萌子
…………なんでよ………
さっきまで暴れまわっていた萌子さんが急に静かになる。
萌子
萌子
なんで………こうなるの…………
大粒の涙が、床にポトリと落ちる。
萌子
萌子
私は………ただ…………
萌子
萌子
ただ、認められたかっただけなのに……
萌子
萌子
いつもいつも……なんで…
あなた
あなた
萌子……さん?
一人、呟いている萌子さんに恐る恐る声をかけてみると、
萌子
萌子
っ………もう……もういい!!!
萌子さんはそう言って生徒会室から出ていこうとした。
あなた
あなた
えっ、ちょっと待ってください…!
まだ何でこんな事したのか、話を何も聞けてない……!
そう思って萌子さんの腕をつかもうとした。
……が、私と萌子さんの距離はもう随分と離れていて、
結局萌子さんは生徒会室の扉をバンッと音をたてて開いてしまった。
待って!
まだ……まふ君に謝ってもらってもないのに……!
萌子
萌子
………!?
ちょっと、どいてよ!
私がそんな事を考えていたら
生徒会室に萌子さんの声が鳴り響いた。

急いでさっきまで俯いていた顔をあげる。

私の目に映ったのは…
うらたぬき
うらたぬき
いやいや。ここは通さないから。
坂田
坂田
嫌なことから逃げたらあかんよ?
扉の前に立って萌子さんを通せんぼしている二人の姿でした。

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