あなたside
目の前にはカッターと鬼の形相の萌子さん。
そして、まふ君の声とそらるさんの声。
あぁ、私刺されるのかな。
………勇気だしたけど、結局駄目だったな…。
そう思って、ギュッと目をつむる。
………が何故か痛みはなく、
さっきまで掴まれていた胸ぐらが離された感覚がした。
な、なんで………?
そう思いゆっくりと目を開く。
目を開いた先には、お腹にカッターが刺さった天月君が立っていた。
萌子さんが天月君の方へと駆け寄る。
さっきまで暴れまわっていた萌子さんが急に静かになる。
大粒の涙が、床にポトリと落ちる。
一人、呟いている萌子さんに恐る恐る声をかけてみると、
萌子さんはそう言って生徒会室から出ていこうとした。
まだ何でこんな事したのか、話を何も聞けてない……!
そう思って萌子さんの腕をつかもうとした。
……が、私と萌子さんの距離はもう随分と離れていて、
結局萌子さんは生徒会室の扉をバンッと音をたてて開いてしまった。
待って!
まだ……まふ君に謝ってもらってもないのに……!
私がそんな事を考えていたら
生徒会室に萌子さんの声が鳴り響いた。
急いでさっきまで俯いていた顔をあげる。
私の目に映ったのは…
扉の前に立って萌子さんを通せんぼしている二人の姿でした。