まふまふside
そらるさんがあなたに聞く。
…………あなたに、好きな人…
いてほしくないな…。
そんな事を考えながらあなたの方へ目をやる。
そう言いながら、首をブンブンと横に振るあなたの頬は真っ赤に染まっていた。
………嘘下手すぎでしょ。
まぁ、そんなところも可愛いんだけど。
そらるさんがあなたを白い目で見る。
あなたはあくまでも『いない』で押し通すつもりらしい。
隣で『え…』という声をあげた天月君は
ショックを受けているようだった。
あなたの『いない』という答えが嘘だということに気がついていないらしい。
そうボソッと呟いたうらたさんも
あなたの答えが嘘だということに気がついていないようだ。
坂田君はもちろん気がついていない。
露骨な話題そらし。
でも、僕にはまだ手があった。
あなたと天月君が驚いた声をあげる。
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そらるさん達が見えなくなるまで手を振っているあなた。
健気だなぁ……
二人並んで歩く。
………こうしてると、なんだかあなたとカップルになったようで心地がいい。
気持ち悪がられるのを覚悟で言ってみる。
あなたは、そう呟き黙ってしまった。
やっぱり、気持ち悪いって思われちゃったかな…?
あなたの顔を覗く。
すると、
そこには僕を気持ちわるがっている顔ではなく、
真っ赤に赤面したあなたの顔があった。
あなたがそっぽを向いてしまう。
………可愛い。
溢れる思いが飛び出してきた。
駄目だ。もう、止まれない。
あなたの頬に手を当てる。
あなたは、まだ恥ずかしがっているみたいだ。
キュウゥと胸が苦しくなる。
あなたの全てが愛しい。
手を絡めて恋人繋ぎというものをしてみる。
すると、
驚いたのか目を丸くさせながらあなたがこちらを向いた。
相変わらず、顔は真っ赤だ。
それどころか、先程よりも赤くなっているような気もする。
………今なら、告白できる気がする。
振られてもいい。
今までずっと募らせてきたこの気持ちだけでも
伝えたい。
真剣な眼差しであなたを見つめる。
頭の中で今まで何度もシミュレーションしてきたはずなのに、
上手く言葉が発せられない。
………言った。
言ってしまった。
『好き』の2文字。
たったこれだけでこれからの僕らの関係性が変わる。
恐る恐るあなたの方を見てみる。
あなたは、ボロボロと涙を流していた。
いきなり告白なんて嫌だったよね。
そう言おうとしたその時、
僕の頬にあなたの暖かい手が触れた。
………え。それって……
気づいたら僕はあなたを抱き締めていた。
こんな僕と付き合ってくれるなんて……
僕の背中に手が回る。
あなたの手だ。
情けないとは分かっていながら
本当に僕なんかでいいのか確認してみる。
あなたのその言葉に涙が溢れる。
そっか。あなたは……本当に僕の事を好きでいてくれてるんだ。
まふまふHAPPY END
『涙の数だけ』
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!