まふまふside
『お前は萌子の気を引く係』
そう、そらるさんに言われた。
気を引くっていってもどうすれば…………
相手はストーカーだ。
いきなり仲の良いフリなんてできない。
もし刺されたら?
誘拐されたら??
怖い…………。
それに、萌子ってどこかで聞き覚えが………?
でも、あなたの為だもんね。
頑張らなきゃ。
気合いをいれて教室で友達と話をしている萌子さんのところに歩いていく。
僕は人見知りで、人と話すのは苦手だ。
…………でも、あなたの為だから……。
今はもう一人の『まふまふ』を演じよう。
ついつい怖くて涙眼になる。
………大丈夫。僕なら、できる。
この人達は萌子さんの本性を知ってて仲良くしてるのだろうか?
…………もし知ってて仲良くしてるのなら恐ろしいな………
まふ君……って………。
その呼び方していいのはあなただけなのに……。
萌子さんを生徒会室へと連れていく。
………なんで生徒会室かというと、
あの後、そらるさんは萌子の弱味とやらを見つけたらしく、萌子を連れてくるよう頼まれたからだ。
思わず身震いしてしまう。
なんでそらるさんと帰ってる事知ってるの?
…もしかして、後を着けてきてるの?
それに、そらるさんに紹介って………
この子は僕のなんなんだ?
どんな立ち位置にいると勘違いしてるんだ?
そう言って萌子は、何を勘違いしているのか
とてもご機嫌な様子で生徒会室へと入っていった。
呼吸を落ち着かせてから僕も生徒会室へと入る。
目の前には生徒会長の椅子に腰掛けるそらるさんと
大量の資料。
……本当に一生懸命調べてくれたことが分かる。
感動している暇もなく萌子が猫なで声でそらるさんに媚を売る。
……男の人なら誰でもいいんじゃないか?
この子………。
なんて考えていると、萌子が僕の袖をグイッと引っ張った。
とっさの事でバランスを崩してしまう。
そんな僕の事なんかお構いなしに萌子は僕の腕に強引に抱きついた。
彼女………?
今、この子、彼女って言った?
汗がダラダラと流れる。
恐怖が込み上げてくる。
萌子は少しキョトンとしてから、
顔を赤く染めて、笑顔でこう言ってきた。
何を言ってるんだこの子は……?
何でそんな考えに至るのかが分からない。
どうして?どうしてそうなるの?
混乱している頭で必死に質問をする。
置いていかれないように、必死に。
そんな、そんな些細な事から僕は、この子に絡まれるようになったの?
ストーカーされるようになったの?
………ふざけないでよ。
僕は………
きっぱりと言い切る。
……怖い。………怖い、けど……!
これが僕の本心だ。
僕はこの子の事なんて、一ミリも好きじゃない…!
萌子さんは一瞬驚いたような素振りを見せた後、
いきなりケラケラと笑い始めた。
!?
だって、付き合ってないし………
すると萌子の手が僕の首に回ってきて、
萌子の顔が目の前に迫ってきた。
このままだと……ちゅ、チューされちゃう!
さっきまで黙って様子を伺っていたそらるさんもヤバイと思ったのか、
席を立ってこっちへ来ようとしていた。
その時だった、
生徒会室の扉がバンッと開いて…
扉の方を見ると、
大きな声でそういい放ったあなたが立っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりにこのお話更新しようと思って3週間前からお話少しずつ書いてたら、
いつの間にか年越してた上に、お話のあらすじ忘れてた悲劇。
多分読者様の方がこのお話について僕より詳しいと思うので、矛盾しているところとかあったらご指摘お願いします。