第34話

恋の充電67%
2,937
2019/06/05 05:07
そらるside
走る。
保健室までがむしゃらに走る。
先生
あなたさんが倒れました!
今、天月さんが保健室まで運んでいます!!
その言葉を聞いたとき、顔から血の気がひいた。
まふまふ
まふまふ
………っ!!
隣でまふまふも必死に走っている。
なんで、倒れたのか。
なんで、気づくことができなかったのか。
そんな、情けない後悔や疑問が頭の中をぐるぐると巡る。
そらる
そらる
あなた!!!
保健室に着いた。
保健室の戸を勢いよく開ける。
そこにいたのは
天月
天月
あ…生徒会長、まふまふ君……
天月と
あなた
あなた
…スー…スー……
静かに眠っているあなた。
まふまふ
まふまふ
あなたは!?大丈夫なの!?
まふまふが天月の方まで走って行き、
天月にすがるように聞く。
天月
天月
大丈夫。
疲労で倒れただけだって。
今は少し眠ってるだけでもう少ししたら目を覚ますと思うよ。
まふまふ
まふまふ
………そっ…か。
良かった……
そう言ってヘナヘナと崩れ落ちるまふまふ。
だけど、問題はそこじゃない。
そらる
そらる
疲労って………3曲も曲を歌ったから?
天月
天月
多分……そうです。
そらる
そらる
あなたが最初歌う予定だった曲は2曲だったよな?
天月
天月
………はい。
そらる
そらる
なんで、3曲も曲を歌わせた?
そらる
そらる
もう1曲歌ってほしいって頼んだの
お前だろ。
そう言って天月を鋭い目付きで見る。
天月
天月
………すみません!!
僕、自分の事しか考えてなくて…
まさか倒れるなんて…っ!
そらる
そらる
…………うん。反省してるならいいよ。
だけど、この間話したこと忘れたの?
天月
天月
…………!!僕の家に来たときの話ですか?
まふまふ
まふまふ
あ………!あの時何話したんですか?
そらるさん。教えてください!!
そらる
そらる
………あの時、天月はあなたと離れてくれって言っても聞かなかったんだよ。
だから…
まふまふ
まふまふ
だから?
そらる
そらる
後日、あなたの相談相手になって、あなたを支えてほしいって頼んだ。
まふまふ
まふまふ
………相談相手??
そらる
そらる
うん。実際にあなたは俺達の知らないところで天月に色々と相談してたみたいだしな。
まふまふ
まふまふ
な、なるほど……
そらる
そらる
だけど……
また鋭い目付きに戻り天月を見据える。
そらる
そらる
支えるどころか、無理させて、挙げ句の果てには倒れさせるとか……
話が違うと思うんだけど?
天月
天月
………すみません。
深々と頭を下げて謝ってくる天月。
天月
天月
確かに僕は、あなたちゃんに無理をさせてしまいました…だけど!!
天月はそう言って、頭を上げる。
天月
天月
あなたちゃんと離れるのは嫌です!
僕は、本気であなたちゃんが好きなんです…!
そして、しっかりとした決意が宿った目で
こちらを見てくる。
まふまふ
まふまふ
え………っと……
まふまふは、状況が飲み込めずあたふたとしている。
そんな間も天月の目は俺をしっかりと見据えている。
あぁ、こういう奴が物語のヒーローなんだろうな…と思った。
そらる
そらる
………分かった。別に、あなたと離れろとまではまだ言ってないし。
これからもあなたの相談相手でいてくれると嬉しい。
天月
天月
………!!
ありがとうございます!
そう言う、天月の笑顔はとても輝いていた。
天月
天月
………まぁ、相談相手じゃなくて、彼氏になりたいんですけどね…僕は。
そんな天月の呟きは俺の耳には届いていなかった。
まふまふ
まふまふ
…………あれ?
まふまふ
まふまふ
そういえば、
うらたぬきさんと坂田さんは?
来てないの?
そらる
そらる
言われてみれば……
天月
天月
来てないね……。
まふまふ
まふまふ
??あんなにあなたと仲良さそうだったのに…?
そんな、疑問が漂う保健室の窓辺には
















一匹の狸と、子犬が座っていた。




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作者
作者
複数ENDを希望していた方が多かったので、そらるさんと天月さんが話していた内容はこのような事になりました。
たくさんの回答、ありがとうございました。
ご協力に感謝します。

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