「もう話は終わりでしょう?そろそろ遅めの昼食を作らなきゃいけないから、帰ってもらえると嬉しいのだけど」
真央のその言葉で、長くお邪魔してしまったことに気付いた5人は、謝罪を述べて真央の家を後にした。帰る時に真央は、
「そんなに情報が聞きたいなら、情報屋を紹介するよ
すぐ近くにあるから」
と言われて教えてもらった”情報屋”へと向かう事になった。
真央が言っていた事を復唱するように言う5人。
最後の「絶対に3回ノックして扉を開ける」、という部分が理解出来ていないのだ。
まぁ、その辺はその”情報屋”の店主に聞くことにしよう。
真央に言われた道を通って、情報屋へ向かう5人だった。
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────カランカラーン
その言葉に5人が首を傾げると、その”少女”は氷音達を見た。
芽衣、と名乗る少女は、敵意などはなさげにそう言った。
しかし氷音達は、「璃那」と言う名前が出た途端芽衣を敵視し、氷音に至っては睨みつける始末。芽衣は「随分嫌われてしまったようですね」とため息をついた。
芽衣はとことこと出口へと向かい、扉を開けて店を出ていった。
「やっぱり情報屋なんだなぁ」と思いながら5人が綴を見ていると、「そうだ、例えば……」と綴は話を始めた。
周りに置いてあるもの全ての説明をしようとする綴を止めて、本題に入ろうとする。このままでは一生話は終わりそうになかったからだ。
冗談なのか本気なのか、そう言う綴。なんの情報が欲しい、と言う訳ではなく、”紹介されたから来た”という場合はどうすればいいのか。とりあえず、そのまま言ってみることにした。
梓がそう言うと、綴は少し驚いたような顔をして、そうですか、という顔をした。
「おやおや、」というふうにくす、と笑った綴。
「先に対価の話をしましょうか」と、呟いた。
にこにこ、と笑いながらそう告げる綴を見て、氷音は、宝物のブレスレットを見た。病弱でなかなか会えない姉がくれた大切なもの。
それを見ながら、考えた。
これなら、情報も十分にくれるのではないか、と。
綴のその言葉の直後、おそら3時を告げているのであろう鐘の音が鳴った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。