そういうと綴は、「そこの椅子にお座り下さい」と言ってにこにことした。
綴はそう言い、氷音達にお茶を出した。ティーカップに入った、美味しそうなお茶。それを啜って、未来は疑問を口にした。
氷音達は、「は?」というような反応をした。
綴はそう言うと、上品にお茶を啜った。質問はしているが、返事を気にしている様子はなかった。
綴は当然のようにそう言うが、他人に自分のことが知られているのは……はっきり言って気持ち悪いことだ。そりゃあ、なんでそれを、という反応をしてしまう。
「次はどなたの話を聞きたいですか?」と聞く綴。
氷音は、「芽衣」の話を聞きたいと答えた。
感情を奪うなんて、できるわけが無いと思う氷音たちだが、あの女…璃那ならやりかねない、というのも本心だった。
芽衣の情報まで聞いて、時雨と未来は思った。
「…その情報、そこまで有力なものなのか?」と。
誕生日やら身長やら出身やら能力を持ってるやら…いくつか知らない情報を貰ったが、そこまで重要な情報ではない気もする。
……重要な情報を、教えるつもりがない、のか?
未来がそう聞き、時雨と未来が綴を睨みつけると、綴は困ったような顔をした。
綴はそういった後、理解出来ていない氷音たちを見ながら、冷めた声で言った。
店の奥から機械のような、女性のような声が聞こえた。
奥から出てきたのは女性。だが、なんだか少し違和感があった。
少し話し方に癖はあるが、会話が成立しているその少女を見て、氷音たちは絶句していた。
機械なのに、流暢に喋れている。
機械なのに、人のように動いている。
でも、機械だからか、無表情で。
どう見ても機械なのに、機械じゃない。
どう見ても機械じゃないのに、機械。
氷音たちは、少しの恐怖を感じていた。
にこっと笑いながらそう言う綴に、疑問を抱いたのか質問するルシエ。
「「どう致します?お客様。」」
ルシエと綴のその声は、店の中にこだました。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。