第19話

番外編3
99
2020/01/25 22:54





全く同時に、別の場所にある二つの家のドアが
大きな音を立て勢いよく開いた。







それぞれ家から出てきたのは、もちろん……………





相澤と絵崎。










脇目も振らずに雄英高校へ一直線。









「こんな事ある訳ない」と呟きながら。











しかし、絵崎の中に入った相澤の方は
心優しき同級生、デクに声をかけられてしまった。








「あ、おはよう絵崎さん!」






普段の相澤ならば簡潔に「あぁ、緑谷おはよう」などと
返し再び目的地まで走っただろうが、






何せ今は、「外見が絵崎」なのだ。




「絵崎らしく」振る舞わなければならない。












「あ………お、おは…おはよう……緑y……デクさッ………」




顔が引きつっている上に冷や汗が止まらない。
相澤はますます焦る。






バレると確実にからかわれるし、
何より面倒くさい!!!!






マイクなんかに見つかってみろ、それこそおしまいだ。










ともかく本来の体に戻るまでは隠さなければ……!!!!
















相澤の、決死の決断である。














「今日もいい天気ですね、デクさんっ!」











清々しいまでの笑顔。












それは、相澤の中の「恥ずかしさ」よりも
「プライド」が上回った為の、憐れな姿だった…………
















ここからは、「中身が相澤」ということを忘れずに
本編を見てほしい。




混乱するだろうが、これが作者の限界なのである。


相澤の心の声も出来れば楽しんでくれ。
















「絵崎さん、何だか今日は元気だね?
何か良いことでもあったの?」




「いえ、そんなことは無いですけどね!」
(最悪な事しか起こってないわ………!!!!)




「今日の授業なんだっけなぁ…………」




「あはは、デクさん忘れちゃったんですか?」
(それ位覚えとけ……!てか、授業内容忘れんな!!)






見事なまでの擬態っぷりを見せる相澤。

自分の生徒の性格と個性を
完璧に把握しておいて良かった。







と、そこへ。







「あれ、かっちゃん?」



「かっちゃ………………!?」
(最悪なタイミングだぁぁぁぁぁあ……………!!!!)






「おはよう、かっちゃん!」


「話しかけんなクソザコデク………………………
…………?…………………………絵崎、何で固まっとんだ」




「……………いや…………………何でもないです!
おはようございます、爆豪さん!」





挨拶をして、そのまま何気なく会話を続け
バレないように高校へ辿り着く…………つもりだった。








「………………………………………………何かおかしくねぇ?」





「ひぐッ………………………!?!?」




思わず、喉の奥から絞り出すような悲鳴が出た。





爆豪は勘が鋭い。








「何がおかしいの?かっちゃん」




デクが普通に話しかけている。馴れているのだろう。








「いや……………何か…………………………いや、何でもねぇ
早く学校行くぞクソデク……………………と、絵崎」








何とか命拾いした。








爆豪には気を付けないとな………他にも勘が鋭い生徒は
たくさんいる。

 




 
果たして乗りきれるだろうか……………?



不安そうに空を仰いだ。














一方その頃、「外見が相澤」の絵崎は。

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