絵崎の家よりも、若干相澤の家の方が雄英に近かった為、
絵崎(外見は相澤)は一足先に雄英に着いていた。
(よし、まだ誰にも会ってない……!)
外見を少しでもいつもの相澤に似せるように、
髪も服も少しゆるくしておいた。
(このまま誰にも会わずに職員室まで……!
そして、相澤先生に会って状況確認を………………………)
校門の前で立ち止まっていたのが悪かった。
『ヨウ、イレーザー!今日も早いなぁ!』
「うェっ………………!?!?」
朝から元気な声に絵崎が肩をびくっと震わせ振り向く。
プレゼント・マイク………である。
相澤が言う、一番面倒くさい奴に捕まってしまった。
でも、ここは冷静に対処しなければならない。
なんせ、今は外見が相澤なのだから。
「…………おっ、おはよう、マイク……」
ぎこちないが、何とか挨拶を返す。
『何かイレーザー、ぎこちなくねぇ?』
「………………………………そ、そんなことはなない……!!
はは、は早く、しょしょ職員室にむむ向かうぞ」
自分でも絶対に気付くであろう挙動不審である。
さすがのマイクでもこれは気付くか………………と思ったが。
『ハハハ、何か今日おもしれェなイレーザー!
いつもその感じでいいんじゃねぇかい!?』
冷や汗が止まらない絵崎を前に、
マイクは変なポーズを取って見せた。
どうやら本当に気付いていないらしい。
これが、プレゼント・マイクという男である。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。