👤《卒業生、入場。》
その言葉と同時に 卒業生達 がクラスごとに入場してくる。
去年まではそれを歓迎して送り出す人だったが、今年は違った。
無駄に力を貼ってしまって、緊張で冷や汗が出て、引っ込み思案な私にはこんな場所 ごめんだ とでも言いたいくらい。
クラスごとだから、番号順だが私と当たる隣の男子が じみん君 だった。
じみん君 は、学校の先生にも生徒にも言われるような 模範生 で
横から見ても、どこから見ても容姿までもが 模範生 だ。
今日の朝はとても忙しかった。
クラスの子からは
「 今日が本番だよ😭 」
なんて絵文字付きのLINEが来たり
教室に入るなり、もう胸に込み上げるものがあるのか泣いている生徒もちらほらといた。
そんなこんなで今、本番を迎えてこの 卒業式の会場 にいる。
卒業証書を受け取った時、正直手が震えていた。
こんな変哲も無い紙切れ1枚が
今の私には
どんなに大きな賞よりも偉大なものに見えて、こんなものを私が………
そう思うと、受け取ることさえもを体が拒んだ。
けれど、その時ちょうど じみん君 と目が合った。
彼は口には出さないけれど
「 大丈夫だよ 」 と言っているような笑顔をこちらに向けてきた。
そのおかげで私は何事もなく 受け取ることができた。
在校生の式歌になると
なぜか涙が零れた。
だってそれには、何人もの思いがひとつになった 目に見えない希望 があったように感じたから。
それを横にいる じみん君 はそっと自分のハンカチを私に差し出してくれた。
ありがたく受け取った ハンカチ には、誰もが好むであろう香りが広がっていた。
とうとう、卒業式は終わり 最後の学活 が各クラスで行われた。
そういえば、親友とは同じ高校じゃないんだな……
そう考えたらまた溢れ出る涙。
これじゃ 後輩に「 頑張ってね 」なんて言えるような顔じゃないな……笑笑
最後の学活が終わり、お見送りになると
後輩達がこちらへとくる。
🐰「先輩!!」
少しだけ泣いたのかな?なんて感じの顔の じょんぐく君 がくる。
『じょんぐく君笑笑』
🐰「あの………!!高校に行っても僕のこと忘れないでくださいね!!」
『うん笑笑 忘れないよ笑笑』
🐰「それと………」
🐰「僕も!!僕も先輩と同じ学校を受けます!!」
『え?!』
🐰「や、やっぱりダメですか……?」
『ううん、待ってるね笑笑』
🐰「!!」
🐰「はい!!」
あぁ、じょんぐく君は癒し((
後輩と話す機会も、もうないんだな………
🐥「あなたちゃん」
『!!』
『じ、じみん君?!』
🐥「卒業おめでとう笑笑」
『じみん君もね笑笑』
🐥「卒業したんだな……俺たち……」
『うん……』
『みんなとお別れは寂しいね……』
🐥「笑笑」
🐥「大丈夫だよ、きっと」
🐥「だって、同じ高校受けたやつも少なからずいるだろ?だから、1回さよならするだけだよ笑笑」
『そ、そうだよね!!』
🐥「どこの高校受けた?」
『〇〇高校』
🐥「笑笑」
🐥「知ってたわ笑笑」
『んじゃあなんd…』
🐥「そういうことだよ」
『?』
🐥「俺もあなたちゃんと同じ高校。だからあなたちゃんはひとりじゃない。」
🐥「それに……」
🐥「 僕がさせない って言ったら怒る?笑笑」
『え?それって……』
🐥「これからはさ、君と恋人としての3年間を過ごしたいんだ。」
暖かい春の風に吹かれて私はこう答える。
『 喜んで 』
春は さよなら と よろしく がセットになっていく。
けれどそれだけじゃない。
「 結び 」 の日でもあるんだ ___ .
END.
ご卒業おめでとうございます。
毎日頑張ってきて、やっとここまで来ましたね。
思春期という難しい時期に親や友達に強く、きつくあたってしまったこともあるでしょう。
けれど、それを毎日許してくれて、普通に何事も無かったように 無償の愛 で育ててくださった両親の顔をみなさん、今日は見れたでしょうか。
学校生活において、楽しいことばかりでは無かったでしょう。
時に辛く、休みたいと思ったこと、たくさんあると思います。
けれど、今日まで、卒業生のみなさん、ほんとによく頑張ったと思います。
きっとここまで頑張ってきたことに関して、たくさんの人が あなたと喜びを共有 してくれます。
ほんとにおめでとう。
今日は大事な人の卒業式だったんです。
私の学校も卒業式だったんですけど、日にちが一緒だったみたいで笑笑
ほんとに今までお疲れさまでした。
これからもよろしくお願いします。
by たるぎ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。