第276話

『 Love Maze 』 JM.
219
2019/11/24 06:06


所詮、恋愛とはそんなもんだ。


今も僕と君は 愛の迷路 に迷っていて ___ .




_______________




事の発端は本当に些細な事だった。



【 じみん君、好きな人がいるんだって 】



『え?』



友達から聞いたその声が私の耳を疑わせる。



私はじみんと付き合ってもう1年が経つ。



そんな中、1番仲の良い友達にそんなことを言われたら誰でも耳を疑うだろう。



その日の帰り道、いつものように じみん と一緒に帰った。



いつもならすごく短いこの道は何度通ったかも分からない。



でも今日は付き合い初めてから彼と歩いた道の中で1番長く感じた。



しばらく私が黙っていれば



🐥「今日なんか大人しくない?どうしたの?」



と、優しい彼は私には覗き込むように見て聞いてくる。




私はそんな彼に




『なんでもないよ』と返す。




この言葉で私たちがすれ違うきっかけになったと、その頃は気づかずに。





___________





🐥《今日は委員会の仕事で遅くなるから、先帰ってて🙏》



『はぁ……』



授業が終わり、放課後スマホを確認するとこんなメッセージが来ていた。



実は、何かと口実をつけて一緒に帰れない日がココ最近何かと続いていた。



だからこそ、今日は待ってみることにした。



1時間自分のクラスの教室で何もせずにただ放課後の夕日をながめていると



🐰「あれ、あなたさん……?まだ帰ってなかったんだ」



と、クラスメイトである じょんぐく君 が私に話しかけてくる。



『あ、じょんぐく君!!』



じょんぐく君とはあまり話したことは無かったけれど入学当初からその端正な顔立ちから先輩達にも人気のある生徒であったため私も知っていはいた。



そんな彼は今日、日直であったため最後まで残って日直の仕事をやっていた。



戸締りをしながら じょんぐく君 はわたしにはなしてくる。



こんなに話す人なんだと、私は思いながら会話していた。



🐰「あなたさん、いつも早く帰っちゃうから今日が珍しいぐらいだね笑」



なんか俯いて笑う じょんぐくくん。



普通、こんな顔されたら惚れない人なんていないだろう。



なんて返していいか分からず苦笑いすると



🐰「……って、気持ち悪いよね笑 あんまり話したこともない人にこんなこと言われて笑」



と言うもんだから




『そ、そんなことないよっ!!』



そう慌てて返す。



すると、ふふっと笑って



🐰「焦りすぎ笑」



と笑うじょんぐく君。



日直日誌を書き始めた じょんぐく君 はたまに私の顔を見てこんなことを聞いた。



🐰「そういえば、誰か待ってるの?」



『あ、うん……』



🐰「彼氏?」



『うん』



🐰「あー…ね笑 おけ、笑」



なにがOKなのかよく分からないけれど(((



隣の教室がガラガラと音を立てて開くのが分かった。



きっと じみん だ。



そう思い、教室からすっと顔を出してみると



『えっ…………』



🐥「あなた……なんでここに……」



『いや、、じみんこそ……』



そう言って私が指を指すのは



👩「えと、、あなたちゃん……?」



クラスで1番静かと言ってもいいような女の子。


眼鏡をかけて、いつも参考書を持っているような、そんな子。


その子が じみん と肩を並べて立っていた。


じみんの目が一瞬揺れた。


そうなんだ、、笑


やっぱり私の友達が言っていたことは本当なんだと思うと涙を流れなかった。


『ごめん、なんか邪魔したみたい……笑』



そう笑って誤魔化し、すぐに自分のカバンを持って学校から出た。



🐰「あなたさんっ!!」



という、じょんぐく君の私を呼ぶ声が廊下に児玉したけど、もうなんでも良くなってたんだ。




その日のメッセージでの じみんは




🐥《何を吹き込まれたのか分からないけれど、僕たちは僕たちだけを信じなきゃいけない、そうじゃないの?》



そう言っていた。



違う、そうじゃない。



私が見たのは完全に女と一緒に歩いていた じみん なんだよって。



何も返す気になれなくて既読無視した。




_________




その日はなんとなく眠れなくて、私は近くのコンビニに寄る。



コンビニで買ったコーヒーを開けて飲むと苦い風味が口に拡がった。



このコーヒーは今の私の気持ちを表すかのように苦くてそれが今の私にはちょうど良かった。



しばらくコンビニの前で過ごしていると自転車が私の近くで止まった。




🐰「え?!あなたさん?!」



と、今日聞いたばっかりの声が私の耳に入ってきたもんだから私はその声の主の顔を見る。



やっぱりじょんぐく君だった。



じょんぐく君はそんな私を見て



🐰「コーヒー…飲めるんだね……笑」



なんて笑っていた。



『別に好きって訳でもないけれど今日はなんとなく。』



そう言うと困り眉になりコンビニに入っていった。



そして数分経った頃、またじょんぐく君がコンビニから出てきて、袋の中からココアの缶を出した。



🐰「隣、座るね。」



そう言って隣に座ってきた じょんぐく君はココアの缶を開けて1口飲むと



🐰「あなたさんはなんかさ、俺にとってすんごく遠い人だったんだ」



とか言ってきた。



なにを言い出すかと思い身構えていたものだからいきなりそんなことを言われてびっくりするしかなかった。




🐰「僕さ、最近何もその人に自分の気持ちうちあけて無いくせに自分で勝手に失恋したって決めつけてずっといたんだけどさ」




🐰「今日のあなたさん見て、思った。自分が気になったことがあれば自分から確かめに行くようなあの姿見てすげえかっこいいと思った。」




🐰「さすが僕が好きな人だけあるなって思った。」




『………え?』




🐰「ってことで!!笑 あなたさんも何かと勘違いしてる部分があるだろうし1度話しあってみるといいかも……なんて?笑」




🐰「まぁ、そうでもダメだったらぼくが貰ってあげる笑」




🐰「でもその前にあなたさんだったらきっと僕にこういうでしょ?笑」




" 私が好きなのは じみん だから "




その言葉を聞いて、あぁそうだよ と自分の胸をつかれた気がした。



『ありがとう、じょんぐく君。』



そう言って立ち上がった。



そして、精一杯走った。



彼の家に。



私のそんな背中を見て彼は



🐰「ふふっ笑 やっぱり好きだなぁ、、笑」



なんて言ってたみたいだけど。



_________




彼の家まで全力で走って、家のチャイムを鳴らす。



すると出てきたのは、じみんで私の顔を見ると丸い目をした。



🐥「あなた……?」



私は今日のことについて じみん にすべて話した。



話し終えた頃には私の目には涙が膜を張っていた。



じみんはそんな私を見て抱きしめた。



🐥「不安にさせてごめん。でも、俺が愛してると思えるのは あなたしかいないから 」



そういった。



恋をしていると何かと盲目になったりする。



そう誰かが言っていたのはあながち間違いではなくて、嘘である言葉にも盲目になってしまうのだろう。



そんな嘘の喚き声にだって異常に反応してしまうから、だからふたりのなかを引き離すことだって出来るのだろう。



他人は言う。



「こうして人は馬鹿になる」と。



でも、それでもいいと思う。



恋愛に 頭なんて使いたくもないし、計算だってしたくもない。



愛はビジネスなんかじゃない、むしろフィットネスなのであろう。



頭を使って愛したことがないからきっと私はそんなことにさえ胸を張れるのだろう。



誰だって何かしらの迷路に迷っていて、その中にある僅かな細い光を目掛けて「楽園」に向かって彷徨っている。



ただ、これだけは肝に銘じて置かなくてはなならない。



時に嘘は僕らの中を引き裂こうとするんだ。



試練はもしかしたら私たちを騙そうとするよ。



でも、そんな時はきっと「永遠」と言う言葉が私たちを救ってくれるであろうから。



今でもそんなふたりは 愛という名の迷路 に迷っていて



その迷いで完成系を探している ___ .




END.



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