誰だって1度は 楽園 を探し求めるものだ。
ほら、チリンチリンとお店のドアが開く。
そういえば昨日来たお客さんは『 愛の迷路 』に迷っていたみたいだ。
だが、そこからあのふたりは同じ迷路に迷うことでまたひとつ成長した。
今日はどんな悩みをお持ちで ____ ?
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「MAGIC SHOP」
そう書かれた店が私の前に建っていた。
噂には聞いたことがあったこのお店の名称。
でも、これは空想上にある店なんじゃ?
私が聞いたことがあるのは、このお店がみえるひと、見つけられる人はまさに 死人 と同じ。
そう、普通の人には見えなくてどこにあるのかも分からない、そんな店だったはずだ。
それが今私の目の前にある。
と、いうことは私は死んでしまったのだろうか。
いや、そんなはずはない。
私は学校から帰ってちゃんと家に帰りそれから、、
あれ?
驚くことに、そこからの記憶が私の中に一切なかった。
では今なぜこんな真っ暗な中外にいるのだろうか。
そんなことを思い出そうとますます考えていると
中からチリンチリンと何かの音色がなって扉が開いた。
『………?』
『あなたは……』
🐹「あら、こんな夜遅くに………」
🐹「もう冬なもんですから、そこにいると体が冷えますよ?」
そう言って優しい笑顔で私に話しかけるこの店の主なのかよく分からない人は、自分が来ていたコートのようなものを私にかけてくれた。
お店の人なのかよく分からない人がどうぞと言って私を店の中に入れた。
『あの……』
と、私が申し訳なさそうに話しかけると甘い笑顔をこちらへと向け
🐹「?……どうかなさいましたか?」
と言う。
私は
『ここ……いったいどこなんでしょうか……さっきから周りを見渡しても、私がいつも通るような道もないし家の近くにあるコンビニもない……』
と言ってみると ふふっ と笑い続けて彼はこんなことを言った。
🐹「そうですね……ここは " そういう場所 " なので……詳しいことはお伝えできかねますが、、」
🐹「もしかしてあなた、、人には言えないような悩み事をお持ちなのでは……?」
まるで、私の心を見透かされているような聞き方だった。
『あなた…何者ですか……』
そう聞くと
🐹「僕ですか……そうですね笑」
🐹「僕は人々の悩みを僕の栄養に変えるような……」
🐹「ある意味 悪魔 みたいな人ですよ」
一瞬で背筋が凍る感覚がした。
『え、えと………』
🐹「……なんてね笑 冗談ですよ!!笑」
🐹「申し遅れました。私、magic shop の きむ そくじん と申します。」
そう言って私に深くお辞儀する そくじん さん。
🐹「さ、僕は君の悩みだけ聞いて君に合った人を召喚するだけなんだよね!!」
" さ、君の悩みを僕に聞かせてご覧? " ____ .
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悩みを話した時、なんだが体に溶け込むような感じがした。
店の中にもうひとつ大きな扉があった。
しばらくこの紙を持ち、ソファにかけているようにと言われた。
そくじんさんから貰った紙というのは、質感が高級そうな紙。
そこにはなんだか知らないけれど『 I'll show you 』と書いてあった。
しばらくここで待っていると、まるでエレベーターが目的地に着いた時になるポーンという音がして、謎のマークが紫色に光る。
光った瞬間、さっきまで開く気配のなかったあの重い扉がカチャっと鳴った。
好奇心で扉を引いてみると
🐭「お、来たか」
と、扉の向こうには見知らぬ男性が独特な形成をしたベッドの上にいた。
しばらく頭にはてなが浮かんでいたが
🐭「そこ、座れ。」
と、言いながらスマホをいじっている彼の横に座る。
🐭「お前、話は聞いたぞ。」
なんて言って私の頭を撫でてくる。
誰かも知らない人に頭を撫でられて心地いいなんて感じてしまう私は変なのかもしれないけれど、なんだかその時私の存在が認められたような気がして嬉しかった。
そう、私が悩みとしていたのは大きく言ってしまえば 自分の存在価値 だった。
毎日同じような日々を過ごし、毎日同じような会話をして
それから、それから………
でも、それでも頑張っても世間というのはとても残酷だ。
だからこそ、今私は何をしていいのか分からない。
そして、自分がなぜ生きているのか分からない。
そんな悩みだ。
🐭「……お前走っている時限界がきても走り続けるか?」
『え?』
🐭「俺は1度人生っつうマラソンみたいに長い道を1度止まったことがある。」
🐭「まぁ、こんな俺にも夢ってのはあってさ」
🐭「まぁ、その夢ってのはお前が聞いたところでって感じだからその話は省くけどさ……」
🐭「俺が居ようがいまいが絶対に世間は悪口を浴びせたんだよな」
🐭「でも俺は別にそれでもいいって思える時があったんだ。」
🐭「だって、少しでも幸せを感じれるような瞬間があるのならば俺は今ここに生きてるって感じられるし」
🐭「だからお前もそう思えばいいんじゃねぇの?」
なんて言って私の顔を覗き込んでくる彼。
言葉は乱暴だったが筋道が通るような説得だった。
🐭「お前、もう少し時間あるか?」
と、言われよく分からないけど頷く。
すると、ふっと笑ったその人は指を鳴らした。
すると、そこにあったのは私の知らない世界だった。
たくさんの人々が誰かの名前を必死に呼ぶ声。
それと同時に動く 紫色の光 。
私はそれをまるで真ん中に立つように見た。
しばらくその光景を目に焼き付けていると頭の中でさっきの彼の声がした。
" これが俺が見てる毎日の世界だ "
" だが、この光や人、、それはいつも同じじゃねぇ "
" でも、俺自体はなんにも…… "
🐭「変わってねぇんだよ」
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目を覚ますと、待ち時間にいたあのロビーのような場所だった。
🐹「やっと目を覚ましましたか、お客様!!」
と、そくじんさんの顔が私の目1面に映る。
『あれ、、』
🐹「さっ、、どうでしたか?初めての利用は!!笑」
と少し興奮気味に私に聞いてくる そくじん さん。
私は
『なんか…ありがとうございました……』
と言うと
🐹「やー!!やっぱりこの件について ゆんぎ に頼んだのが良かったのかぁ!!」
なんて言ってる。
ゆんぎ、、
どこか新鮮で聞きなれたようなフレーズは
あの一瞬見た世界で、紫色の光の中呼ばれていた名前だった。
🐹「今日は悩みを話してくれてありがとう。」
🐹「そして、今日のご来店誠にありがとうございました!!」
そう言って丁寧にお見送りまでしてくれた。
外に出てみるともう、日が昇っていた。
どこがて聞いたことのある歌のフレーズが私の脳裏に過ぎった。
" 日が登る前の夜明けが1番くらいから "
なんの歌だろうと思いながらを靴を履き直して歩き出す。
しばらくどうしていいか分からなくて、、というか、来た道がよく分からなくて右往左往していると
??「………あんた、こんな所で何してるの」
と、青年が私に声をかけてくる。
きっと私ぐらいの歳だろう。
『あ、えと、、帰り道が分からなくて……』
というと、ため息をつきながらも
??「着いてきて」
と言って私の前を歩く。
目がくりくりしてて背が高く、美青年が感じだ。
🐰「ここ、ここの道を真っ直ぐ行けばきっとお前の家」
と言われた。
目の前にあったのは草原のようなところ。
こんなの所を通ったこともない私は
『え、えと、ここを真っ直ぐですか?』
と聞き返す。
すると
??「はぁ……そうだって」とだるそうに言うもんだから
この草原を抜けてみた。
すると、地面に足が着いた途端、コンクリートのような質感に変わった。
驚いて下をみるとそこは私の家の目の前の住宅街になっていた。
後ろを振り返るとさっきの美青年も、草原も、、何もかもが消えていた。
これは夢だろうか。
いや、夢にしては出来すぎている。
なぜなら、私の持っている鞄の中には見たことも無い花の花弁のようなものがあった。
あれは、magic shopの中にあった花の花弁のようにもみえる。
どこまでも謎が深まる magic shopで私が見たものは
『 楽園 』のような世界でした ___ .
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『magic shop』
🐹「今日のお客さん、、ちゃんと帰れたかな。」
チリンチリン……
🐹「おっ!!おかえり じょんぐが!!今日も朝帰りか!!全くお前ってやつは、、ネットカフェに行くのも程々にしてよ!!」
🐰「はいはい……」
🐰「あ、そうだ ひょん。なんか弱そうな女が帰り方が分からないだの言ってたので案内しました。ってことでいいことしたんで1000円ください」
🐹「はぁ?!」
全く、手のかかる弟だ。
でも、、今日のお客さん、最初はなんだか思い詰めた顔をしてたから心配だったけど帰る時は笑顔になってくれて良かったな、、笑
人はどうしても存在価値について追求しがちだ。
だが、1度立ち止まって考えてみるのもいいだろう。
" 君が生きている中で少しでも幸せを感じれるのなら " ___
それは、君が今ここで生きているという証明になるのだから。
みんなが見るような夢なんてなくても、それを馬鹿にするような奴がいても大丈夫。
いつでも君のためにある 楽園 は君を歓迎するであろうから。
END.
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!