第240話

君ガ空コソカナシケレ。 TH.
272
2019/05/18 12:43



拝啓


お父さん、お母さん


今 僕は一人前の男として


この空の上を飛ぶことができるみたいです。


いつも迷惑ばかりかけていた僕ができることは


いつも屁理屈を言うことで


本当に大馬鹿者な僕をここまで育ててくれてありがとう。


今、あなたちゃんは元気ですか?


僕は、元気ですと伝えておいてもらえるとありがたいです。


あなたちゃんは、昔から心配性なところがあるみたいです。


それは時に僕の心を苦しくさせて


それは時に僕の心に拠り所を設けてくれるようです。


僕がお父さんとお母さんに最後の挨拶をするのは


あのひまわり畑が良いでしょう。


綺麗に咲いた、僕よりも少しだけ背が高いひまわりが


きっといつか………


永遠のものになりますように。


僕は明日出発します。


僕は笑顔で


飛んで、散ってゆきます。


さようなら なんて言いません。


ただ


次の日になれば僕はいません。


だからどうかこの手紙を カタミ だなんて言わないでください。


またきっと どこかで会えます。


きっと僕は


お父さんやお母さん、あなたちゃんの心の中で


このひまわり畑の上をずっと飛んでいます。


寂しくなったらこの言葉を覚えていてください。


「きっと大丈夫、僕は世界一かっこいい男だ」


なんだか小っ恥ずかしいですね


さて、これを最期といいますか……


ひとつだけ


わがままを言わせてください。


壱 向日葵畑でのあなたちゃんのとの出会い方をもう一度やり直したい。


弐 芥川龍之介の本を読みたい。


参 弟と一緒に歌を歌いたい。


そして、あなたちゃん


貴方に会いたい


話したい


触れたい


無性に。



では、僕は



逝って参ります



金 泰亨.






Prolog END.



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