第258話

『 怖いお兄さん 』 TH.
240
2019/08/23 05:26


今日私は人生においての節をつける。


私はこれまでたくさんの苦労があった。


私だって 楽 になりたい。


そう思い選んだのは 自殺 という答えであった。


最初は悩んだ。


痛いのは嫌だ、怖いのかな、もしこれで私が助かってしまったら?って。


そんな事考えてる中私はふと思った。


『あぁ、そうか。1度試してみればいいんだ』


今いる場所は屋上。


どうせ誰も私を見ない、いや 居ない ふりをするでしょう?


私靴をそっと脱ぐ。


ようやく足が1歩でそうになった瞬間


🦁「ねぇ」


誰かが発したその言葉。


私は後ろを振り返ってみる。


『!!』


そこにいたのは、とても痛々しい傷が頭から足先まであるような男の子。


目付きが悪く、身長も高いせいか私にとっては 怖い人 にすぎなかった。


その男はそんな私に気にせずまた言葉を発す。


🦁「あんた、死ぬの?」


『ま、まぁ……』



私が そうだ と答えれば不思議そうに顔を傾ける。



🦁「なんで?」



『え』



いや、なんでって……



そりゃあ何も無ければ命を捨てたいだとか思う馬鹿はいないであろう



『色々あるんです』



そう私は 怖い人 に少し強い口調で言った。



すると、その怖いお兄さん は



🦁「ふーん……色々ね……」



そう呟いて切なそうに空を仰ぐ。



🦁「あのさ」



その男の人は少し変わっているのかもしれない。



みんな私を避けるのに、あなたはなぜか私の隣に座るから。



🦁「俺さ、昨日お前と同じことした。」



『へ………』




その言葉を聞いた瞬間私の頭は真っ白になった。



この人、とっても強そうな顔をしてるのに



なんて考えていた私の心をまるで読むように



🦁「俺さ、元々目付きこんなんだからさ、学校にも友達いねぇし なんなら親だって……」



そうどこか寂しげな笑顔を見せる 怖い人 はまるで今までの私のようだった。



🦁「きっとお前もそういうもんだろ?」



『?』



🦁「もしさっき止められてなかったらお前は今ここにいないかもしれない」



🦁「でも、もし止められたらお前はそこでやめていた。」



🦁「それって、まだあんたが今 生きたい と思わなければやめてなかったはずじゃん」



『っ………』



🦁「あんたは今、どうしたいの?」



『…………』



なんで初対面の人にこんなこと言われなくてはいけないのか



大体私がここに来た理由は 死にたいから ではないか。



こんなの迷うはずない。



『私は……死にたいんです……』



🦁「…………」



🦁「うん、いいよ。俺もちょうど昨日失敗したやつだから、失敗した奴同士一緒に死のうか」


なんていう 怖い人 。



私は名も知らない人の家へと上がった。



もう夜中の2時である、あたりの空は深みがより増して真っ暗い。



今私の目の前にあるのはたくさんの睡眠薬。



これを飲めば…



そう思い手にしてみると



🦁「あ、違う!!」



『え?』



🦁「お前はこっち」



そう言って握らされたのは別の 睡眠薬 のようなもの。



🦁「んじゃ、僕と一緒に最期に会ってくれてありがとうな」



なんてキザなセリフを吐き、私たちは一緒に睡眠薬を飲んだ。



__________________







あれから数時間たったが私は全く眠くならない。



何故だろうと思い、隣でぐったりとしている彼の傍にいく。




『あの……これって効き目あります?』



なんて聞いてゆさゆさと揺らす。



お兄さんの体は妙にぐったりしていた。


『え………』


ふと、お兄さんのポッケをみた。


そこには、子供がとても好むであろう白いラムネが入っていた。



そういえば、私が飲んだ睡眠薬もラムネの味がしたな、なんて考えてみてわかったんだ。




私が飲んだのは 睡眠薬 じゃない、ラムネだったのだと。




隣にぐったりと眠る様子の怖い人はきっともうこの世の者ではない。




ごめんなさい、お兄さん。



私は目がぼやけて熱くなるのを感じた。



少しだけ触れると ぽろっと 落ちる宝石のような 涙 が物語った。



『 私はまだ生きていたい 』のだと。



それからの私はあまりよく覚えていない。



ただ一つだけ確かなことがある。



私があの日みた彼は1か月前に亡くなっていたこと。



そして、あの日見た怖い人は私と会った時すでにこの世の者ではなかったこと。



今日も私は自分の生きている意味が分からないんだ。




でもそれでいいんだ。




生きている意味が分からなくても自分で 生きたい と思えていればそれで。





あの日から私は少しだけ変わった。





相変わらず私は1人だけど、なんだかそれも寂しくないな……なんて笑




そうだ、今日はあの 怖い人 に会ってから1か月が経った。お花でもあげに行こう。




そう思い、近くにある墓地公園へと足を運んだ。




私が彼のお墓に綺麗な花を添えた時




🐰「ねぇ」




🐰「お姉さん、ここに1人で来たの?」




って声をかけられてその後彼が かけがえのない存在 になっていくのはまた別のお話 ____ .




END.




あとがき🐇


ここまで読んでくださってありがとうございます🥀


さて、みなさんに質問です。


みなさんにとって自殺とはどんなものでしょうか。


自殺する手前まできて、自分が 生きたい のだと確信した今日の主人公。


実は心の隅で本当は強く生きたいと願っていたのではないでしょうか。


最近よく耳にするニュースには、時に痛々しい事、時に いじめでの自殺 というものが多いのではないでしょうか。


私は元々、精神が弱く、その精神力がないがために一つの軽い病気にかかったことがありました。


その時とても母は泣いていました。


【私はなんで母を泣かせているんだろう】幼きながらもそんな事を考えるのが日課になっていたんです。


それが小学1年生の時の出来事でした。


今振り返ってみればそれが良い経験になったのか、ならなかったのか……


よくわかりません笑


自殺をする前に絶対に人間が考える事があるようです。


それが【自分の存在価値】。


でもそれを考えたところであなたの何が変わるんだろうと私は思っています。


存在価値を気にするんではなく、まずは自分の好きなことを狂うぐらいにやってみていいと思う。



世界は大きいようで狭くて小さい。


時に人は笑い、泣き、怒り、恨み、愛を知る。


今までの辛い過去や今起きている辛い日々はそれの通過点でしか無いことを


今の私から伝えます。


でもさ、【じゃあ、たるぎの過去はそんなに酷かったのか?お前に何がわかる】そう言われても仕方ないと思うんだ。



だから、私の 過去 の話についてはみなさんともっと 読者様 とずっとずっと深い関わりになってから…………🦋



たるぎ🐇



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