昔僕におばあちゃんは言った。
「あんたが大きくなっておばあちゃんなんていらないって思う日ができたとしても、いつも何度でもおばあちゃんはあんたの名前を呼ぶよ。」
最初はそんな言葉、死んでしまったら嘘だと思ってた。
だが最近になってふとした瞬間、その言葉が頭を過る。
そういえば、もう少しでお盆にはいる。
僕はこれまでの 僕 について考えることがこの歳になって多くなった。
昔のような少年らしさが今の僕には見られなくなっただろう。
更に言ってしまえば、今の僕はもしかしたら あの頃 思っていた "面白みのない大人" の1例にすぎない人間になってしまったかもしれない。
だが、そんなこと誰が決めつけただろう。
僕が 僕のことを悪く言わない限り 、僕という人は
一生誰かの心の中で生き続けるだろうな。
それは人間にとってとても幸せなことで
そうなってほしいという、 願望 でもあるんだろうな。
だとしたら僕のおばあちゃんはやっぱり凄いや。
今となっては 世界 という光を浴びた僕。
それでも僕には僕としての上がいる訳で
その人を超えるために後の生涯を費やすんだろう。
ねぇ、おばあちゃん
僕もおばあちゃんが、僕を完全に忘れてしまっていたとしてもこうして何度も何度も
思い出してしまうんだ。
おばあちゃんが こっちにおいで って言うまで
僕は今日も世界の最前線で光を見る __
END
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!