君は頭に花冠をつけていた。
『も、もうッ!!貴方誰?!』
🦁「僕泰亨!!」
『…………』
🦁「ね!!僕とこれから遊ばない?」
なんて笑顔で聞いてくるものだから
『い、いいよ……』
こうして君と話した。
それからは私達で一緒にいることが多くなった。
お互い、きっと知らないことなんて無かった。
多分、君の事が好きだって
それ以外は。
そして、月日が流れて
私たちの国では戦争が怒った。
毎日降ってくる空襲は
私たちの精神を日に日に崩していった。
そんな中、泰亨が言ったんだ。
🦁「俺、国のために頑張ってくる。」
その時は分からなかったんだ。
私にみせた汽車の切符は 片道 で
食糧不足でやせ細った頬で
私は『おめでとう』そういった。
だって、泰亨がそうなるってことは
泰亨がもう立派な大人になったってことでしょ?
泰亨は大人になることを昔からずっと望んていた。
だから
おめでとう なの。
泰亨の弟はその時、まだ赤ん坊で
私の胸の中にいた。
その弟に泰亨は
🦁「弟、お前が男なら……な?」
なんて言っていた。
まもなくすると、汽車の出発の合図。
🦁「あ、もう時間だ」
🦁「…………」
君はすこし目を凝らした。
そして、すぅっと息を吐くと
🦁「じゃあな!!」
何も無いように、まるで遠足に出かける子供みたいにそう言ったんだ。
けれど
『ッ……』
片道の切符が語ったのは
泰亨がもう帰ることのない人だってこと
溢れる涙を堪えて
『じゃあね!!』
そう言って 一生懸命手を振った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!