第241話

君ガ空コソカナシケレ。 TH.
199
2019/05/18 13:11



彼とあったのはいつ頃だろうか


私の記憶が正しいのであれば


きっと小学生の低学年の頃かな


広大に広がる向日葵畑で


初めて君と出会った。


私は虫が苦手で


向日葵畑では、向日葵だけが目当てで足を運んでいた。


私は花の中では1番 向日葵が好きだった。


なんだか、太陽を軽率に奪えるような気がしたから。


そんな私にいきなり


🦁「わッ!!」


そう言ってカブトムシを私の顔の目の前に持ってきた男の子がいたの。


それが


泰亨君。




君は頭に花冠をつけていた。


『も、もうッ!!貴方誰?!』


🦁「僕泰亨!!」


『…………』


🦁「ね!!僕とこれから遊ばない?」


なんて笑顔で聞いてくるものだから


『い、いいよ……』


こうして君と話した。


それからは私達で一緒にいることが多くなった。


お互い、きっと知らないことなんて無かった。


多分、君の事が好きだって


それ以外は。


そして、月日が流れて


私たちの国では戦争が怒った。


毎日降ってくる空襲は


私たちの精神を日に日に崩していった。


そんな中、泰亨が言ったんだ。


🦁「俺、国のために頑張ってくる。」


その時は分からなかったんだ。


私にみせた汽車の切符は 片道 で


食糧不足でやせ細った頬で


私は『おめでとう』そういった。


だって、泰亨がそうなるってことは


泰亨がもう立派な大人になったってことでしょ?


泰亨は大人になることを昔からずっと望んていた。


だから


おめでとう なの。


泰亨の弟はその時、まだ赤ん坊で


私の胸の中にいた。


その弟に泰亨は


🦁「弟、お前が男なら……な?」


なんて言っていた。


まもなくすると、汽車の出発の合図。


🦁「あ、もう時間だ」


🦁「…………」


君はすこし目を凝らした。


そして、すぅっと息を吐くと



🦁「じゃあな!!」



何も無いように、まるで遠足に出かける子供みたいにそう言ったんだ。



けれど



『ッ……』



片道の切符が語ったのは



泰亨がもう帰ることのない人だってこと



溢れる涙を堪えて



『じゃあね!!』



そう言って 一生懸命手を振った。





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