楽屋を出てちょっと歩いて角を曲がれば、すぐある自販機
それしても、テレビ局って広いなあ、
迷子にならないようにしなきゃね、
いつもなら、
慧がなんか話振るのに
なんで今日は、黙ってるの、?
寂しーじゃん
我慢できなくて、
話しかけちゃうもんねーだ
返事はいつもとは違って素っ気なくて
私なんかしたかな
冷たい返事に胸がズキっとする
慧から、一緒に行くって言い出したんじゃん
心の中で八つ当たりしても
慧には届かないのにね、
気分下がって無意識に、下を向いて歩く
私と慧の間がどんどん広がってく
慧は何を考えてるんですか
いたジャンだったかな、
なんかのテレビ←
のプロデューサーさんが曲がり角から大量の資料か何かを抱えながら忙しそうに出てくる
前に1度会ったことあって、
まさか、向こうが覚えてくれてるとは思わなかったけどね
自分の名前が呼ばれて、今まで気づいていなかった慧が
こっちを振り返る
知らないうちに慧が横にいた
笑顔が引きっつってるように見えなくもなかった、
嫌だったかな、私に見られるの
お仕事だもんね、
そういうと、私の肩に手をぽんっと置いて、ゆっくり歩いていった
途端にこぼれる慧のため息
今日は、とことん機嫌が悪いこの男
かと、思いきや
私の手を握ってきた
私を引っ張るように早歩きで、
歩きながらぼそっと
わざと足音を大きくして
でも、聞こえてるよ?
早歩きして私を引っ張ってた慧が止まって、私の歩幅に合わせて歩き始める
繋がれた手は変わらないまま
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。