テヒョンside
この場合、離してくれるまで何かを言い続けるしかないんだろう。
でも、僕の思いとは反対に、ヒョンの僕を抱き締める力はどんどん強くなっていく。
どれだけ僕が必死になって、言いたくもない暴言を吐いても変わらなかった。
なら…
暴言を吐いても無理なら、暴力しかないじゃないか。
でも、「殴るぞ」と脅したって、ヒョンは変わらなかった。
それに、抱き締められてる側が分かるほど、ヒョンの体の震えは増していた。
そう感じたのと同時に、鼻を啜る音が聞こえてきた。
ヒョンが、泣いてる。
どうすればいいか分からなくなり、思わずため息をついてしまった。
そのため息を聞いたヒョンは、体をビクッと震わせる。
抱き締めてもいいかな。
ここまできたら、もう無理だろう。
諦めようとしたその時、
スタッフさんだ。
助かった…。
あれ、反応がない?
それでも、反応がない。
どうしたのかと、ヒョンの顔を覗き込む。
すると、ヒョンは眠っていた。
涙を流しながら。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。