第38話

❄️
1,495
2021/05/13 12:00

テヒョンside





この場合、離してくれるまで何かを言い続けるしかないんだろう。










でも、僕の思いとは反対に、ヒョンの僕を抱き締める力はどんどん強くなっていく。




テヒョン
テヒョン
チッ、本気で離してください。
ジン
ジン
…。
テヒョン
テヒョン
きしょい。うざい。
ジン
ジン
っ…。
テヒョン
テヒョン
大っ嫌い。





どれだけ僕が必死になって、言いたくもない暴言を吐いても変わらなかった。










なら…




テヒョン
テヒョン
殴りますよ?
ジン
ジン
…。
テヒョン
テヒョン
いいんですか?





暴言を吐いても無理なら、暴力しかないじゃないか。










でも、「殴るぞ」と脅したって、ヒョンは変わらなかった。










それに、抱き締められてる側が分かるほど、ヒョンの体の震えは増していた。










そう感じたのと同時に、鼻を啜る音が聞こえてきた。










ヒョンが、泣いてる。




テヒョン
テヒョン
はぁ…。





どうすればいいか分からなくなり、思わずため息をついてしまった。










そのため息を聞いたヒョンは、体をビクッと震わせる。




ジン
ジン
ごめ、なさっ…ごめ…ぐすっ
ジン
ジン
や、だっ…
ジン
ジン
嫌わないでっ…ぐすっ、





抱き締めてもいいかな。










ここまできたら、もう無理だろう。










諦めようとしたその時、




スタッフさん
スタッフさん
BTSさん、そろそろ着替えとメイクお願いします。





スタッフさんだ。










助かった…。




テヒョン
テヒョン
仕事。離れて。
ジン
ジン
…。





あれ、反応がない?




テヒョン
テヒョン
ちょっと?





それでも、反応がない。










どうしたのかと、ヒョンの顔を覗き込む。










すると、ヒョンは眠っていた。











涙を流しながら。










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