テヒョンside
控え室に入ると、ジニヒョンが寝ていた。
疲れてるんだろうな…。
その寝顔がすごく、綺麗で儚く見えた。
いつか、消えてしまうんじゃないか。
僕たちの手で、消してしまうんじゃないか。
そう思うと、急に不安になってきた。
ジニヒョンの存在を確認するために、ジニヒョンに近づいて、その綺麗な顔に触れてみる。
あ、ちゃんと、いる。
ちゃんと、存在してる。
良かった。
やばい。
これはやばい。
マネがいる前でジニヒョンに近づいてしまった。
ダメとは言われてないが、今の雰囲気で分かる。
きっと、マネは怒ってる。
それに、ジニヒョンを起こしてしまった。
いつも通り、冷たい対応を取らないといけないのに。
今の状況だと、誤魔化しにくい。
このままでは、本当にやばいことになる。
焦りに焦った僕が、何もできずにいた時だ。
焦りすぎて、どうすればいいか分からなくて、そのままにしていた自分の手に、ジニヒョンがすり寄ってきた。
寝ぼけているのだろうか。
何にせよ、ジニヒョンが自分から近づいてきてくれたのが嬉しかったんだ。
そんな僕を見ている、背中に突き刺さる視線が痛いけど。
ジニヒョンは、拒まれなかったのが嬉しかったのか、更に僕に近づいてきた。
僕の名前を呼びながら、抱きついてくるヒョン。
そんなヒョンの体は、小刻みに震えていた。
その行動が、何故か健気に見えて、心がぎゅっと締め付けられる感じがする。
僕も抱き締めかえそうと、ジニヒョンに手を回した時、
マネが、低い声で僕を呼んだ。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。