実は、まだ呪詛師時代に未練があった
思うがままに暴れて
家の事も、仁義も何も気にせず壊しまくる
そんな囚われのないあの日々に戻りたいと願う事は、少なくはなかった
耳を防ぎたくなる爆発音
それを空中で避け踊る
はぁ………………素敵だ
こんなに楽しい音に囲まれて……………
今なら死さえも怖くない
右耳のピアスに格納していたそれを取り出す
呪具って便利だよな
武器にもなるし、封印道具にもなるし
本体よりデカい物も収容できるんだから
グッと力を込めて遊雲を握る
数ある呪具の中でたった一つしかない、使用する術師の純粋な力だけが伝わる呪具
………私は、力が弱い
あんな家の中じゃ、持てる重いものと言えば毎日のように運ぶ食事を乗せた台
そんな生活を15年続ければいくら多くの呪力を持とうがいきなり力は強くならない
だから、死ぬ気でたった1部を鍛えた
_______________BON!!!!!!
爆破でこちらに勢いよく近づく勝己を、しっかり目で捕らえる
見える限り、聞こえる限りは
私の勝機が消える事は、一切ない
振りかざした遊雲を勝己のこめかみにぶち当てる
思い知れ、名ばかりのヒーロー共が
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。