「 大丈夫、私はあなたを置いていかないよ」
怒っているのか、泣きそうになっているのか分からない顔で彼女は私を見ていて
おーよしよし、とあなたを宥める硝子はまるで今にも割れてしまいそうなそれを優しく扱う目をしていた
……あなたは、私が壊してしまったのだろうか
手を口に当てたままトイレへダッシュした悟
なんか静かだと思えば …我慢してたのか((
携帯片手に店を出る
パッと携帯を開くが、いつまで経っても七海に電話をかける気にはならなかった
「 また私の事置いていくんだろ!?!? 」
そう言われても仕方ない
迎えに行ったとは言え、何も言わずに居なくなったことは事実
それが当時、心に傷を負っていた彼女にとってどれだけの不安が押し寄せるかなんて
私は何も考えちゃいなかった
ドロドロと心臓が地に落ちそうな感覚を抱えながら、七海に連絡を入れた
NEXT
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。