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第6話

届ける
翌朝。

周りを見渡しても南君がいなくて

どこに行ったのかと思ったら

キッチンで母のお弁当作りを

なんかすごい頷きながら見ていた。

何が目的なのかさっぱり分からない。


で、私の存在に気づいて

南 咲栩
南 咲栩
あ、おはよー✌️
そう言われたから

おはよう

と返した。

で返ってきたのはもちろん

母のおはよう。
南 咲栩
南 咲栩
俺の存在スルーするの慣れてきた?
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
お母さん、今日午後からちょっと公園行ってくるねー
気にしない。
延々と話しかけてくる南君をスルーして五分。

朝ご飯の用意ができたので
とりあえず自分の部屋に。
南 咲栩
南 咲栩
でさー、そん時の唯斗がすっごいかっこよくてー
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
私がお母さんと南君の話一緒に理解できてると思う?
南 咲栩
南 咲栩
思う
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
うん、で高峰君がかっこよすぎる話いつまで続くの
南 咲栩
南 咲栩
うお、聞いてんじゃん
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
かるく聖徳太子。
さすがに10人は無理かな〜とか思いながら食パンを食べる。




…。



横からものすごい視線を感じたので

一旦食べるのをやめて
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
…何か、気になることでも?
南 咲栩
南 咲栩
いやあ。朝ご飯……すくな
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
朝はあんまり食べないの。
夜はしっかり食べる
南 咲栩
南 咲栩
昼は?
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
ちょこっと
南 咲栩
南 咲栩
ダメダメそんなんじゃー。
習ったでしょー?
朝はしっかり食べて午前中のエネルギーを取りましょう!ってさー。
そこまで体動かさないし。

夜食べればいいし。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
分かったよ。今度から気をつけます
南 咲栩
南 咲栩
うん!
満足そうな顔をして笑った。

なんなんだこの人は。

って。一緒にいて楽しい自分がいるのにおかしくなった。
そして、1時半。

公園に来るまでにいろんなハプニングがあった。

なにせ隣にいる人は死んでるんで。


高峰君にどんな顔されるのか

私が南君をスルーするみたいに

スルーされないか

ものすごく不安だった。


待つこと7分。

案外早めに高峰くんは登場した。

確かに南君が言ってた通り

身長高くて、顔立ちも良くて
肌白くて、まっすぐな目。

見とれてる場合じゃない。

話しかけなきゃ。


私が歩き出した時

南君が小さな声で



って言ったのを私は聞き逃さなかった。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
あ、あの!た、高峰くん。
突然知らない人に話しかけられて
もちろん動揺する彼。

とりあえず私がどういう理由で話しかけたのか説明してしないと。
焦る私に南君は

いつもの陽気な声じゃなくて

優しい声で

落ち着け だの、大丈夫か だの
いろんな言葉をかけてくれた。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
私、南君の知り合いで、
今日は南君から伝言を伝えにきました!
南君

って単語を言った瞬間に

目を見開いてさらに動揺した。
高峰 歩
高峰 歩
咲栩の知り合い?
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
えーと、まあそう、です
南 咲栩
南 咲栩
歩。
また、さっきと同じトーンで高峰君の名前を呼ぶ。
南君が高峰君への思いを
話し始めた。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
まず、突然死んでごめん。
びっくりさせて、ごめん。
まさか死ぬと思ってなかったから
何も言わないで死んじゃった。
続けようと思ったけど
高峰君がそれを止めた。
高峰 歩
高峰 歩
待って、なんで、なんで死んでからの伝言なんだよ。
そりゃそうだよね。
でも、
構わず、続けた。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
もっともっと歩と一緒にいたかったし、それ以前に、会いたい、
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
悔しい。なんで死んじゃったんだろ。
なんでもう一緒にいられないんだろ。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
死んじゃったのは仕方ないから
歩は幸せに生きてほしい。
俺ずっと見守ってるから。
なんか辛いことあったら
俺の事思い出して。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
生きてるうちに感謝言えなくてごめん。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
俺は元気だから、
心配すんなよ。
たまに優しすぎるところあるから
無理すんなよ。
いつのまにか私まで涙を。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
49日までは近くにいるから。
49日までは、隣にいるから。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
今までこんな俺と一緒にいてくれて
ありがとう。
南 咲栩
南 咲栩
歩。俺のこと
南 咲栩
南 咲栩
忘れんなよ。
言い終わって

泣きすぎて

もうこれ以上話せなくなった。
すると、高峰君が
高峰 歩
高峰 歩
今のが本当に死んでからのあいつからの伝言なら、
高峰 歩
高峰 歩
お前は誰なんだよ。
途中から、私の方を向かなくなってしまっていた。

泣いてるかな、とか思ったけど

そうではなさそう。
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
麻倉夏恋です。
詳しいことはおいておいて、
最後に1つだけ。
そうして、南君が最後に言った言葉を
届ける
麻倉 夏恋
麻倉 夏恋
南君が亡くなる2日前のバイトの時
夜ごはんおごってくれてありがとう
私はそう言って

歩き出した。

用は済んだ。

帰ろう、って、
高峰 歩
高峰 歩
おい、
最後の言葉を言ってから
高峰君の顔つきが変わった。
高峰 歩
高峰 歩
連絡先教えろ。
言葉はきついけど
どこか、
優しさが溢れる
そんな人にだった。