第3話

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2018/07/29 06:53
あら、娘が帰ってきたわ。
???
???
娘さんですか…
残念だけど、もかのほうじゃないわよ?笑
お帰りなさい。
ちょっとお客さんきてるから、上にいて?
貴城める
貴城める
わかった。
階段を上がっていく音。
少女の声。
???
???
(素質のある声だな…)
ごめんなさいね。
えっと、
???
???
あの…
何かしら?
???
???
さっきの方は、芸能活動はしていないんですか?
そうなの。まあ、見た目も
もかより劣っているしね…笑
???
???
歌は絶対上手いですよ…
そうなのよ!!もかより上手なの…
でもね、歌えないのよ。
???
???
どういうことです?
歌っているじゃないですか
上から聞こえる歌声。
ん?この曲…
める!!
呼んでも止まらない。止まる気配のない歌声。
なんて綺麗なんだ。水のように透き通っていて、感情豊かで、でも、底には暗闇が漂っている。
まさしく、その曲に合った歌声。
める!!
階段を駆け上がり、ドアを開ける。
貴城める
貴城める
お母さん…
俺も見にいく。その少女がどんな表情をして歌っているのか。どんな眼をして歌っているのか。
どれだけ心配かわかってる…!?
床に座っている制服を着た少女。
彼女の顔は、頬に涙がつたっていた。
彼女の眼は、瞳を覆うように曇がかっていた。
貴城める
貴城める
…歌いたかっ…た……ずっと…
ダメに決まってるじゃない!!
私たちがあなたのためにどれだけ苦労しているのか知らないでしょ!?
貴城める
貴城める
ごめん…なさい…
つらそうな少女。
彼女からは歌を愛する情熱が伝わる。
その“ごめんなさい”の声からも。
苦しそうだ。1人でもがいている。
???
???
…貴城社長。
あら、ごめんなさい。
みっともない姿を見せて…
???
???
さっきの曲。
???
???
???
さっき、彼女が歌ってた曲です。
…あれは
???
???
俺がつくったやつですよね?
貴城める
貴城める
え…?
彼女の瞳はほんの一瞬、光を放った。

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