部室の鍵を先生に返し
下駄箱に行くと

貴）福山先輩、

淳）遅い

貴）な、なんで、

淳）早く帰るぞ

先輩はさっきの事に気付いている
もしかしたら、私の事を気遣って. . .？

淳）何してんだよ

貴）あ、はい！

靴に履き替え先輩の元まで駆け寄ると

淳）遅い

貴）す、すみません、

淳）帰るぞ

貴）はい！

その帰り道の揺れる電車の中

貴）福山先輩って
なんか映画見ますか？

淳）ん？まだ今年は見てない

貴）そうなんですか？

淳）まぁ、夏にやるヒロアカは
見たいと思ってる

貴）私も！見たいんですよね〜

淳）見てんの？

貴）見てます！

淳）ふ〜ん

貴）行きたいって思っても
周りにヒロアカ好きな子いなくて
行けないんですよね〜

淳）そうなんだ

それから少しの無言の時間、

貴）(なんか、気まづい. . .)

貴）(あ、)

近くの席に座っていた
高校生が持っていたマンガに
目がいった

貴）(ヒロアカだ. . .！)

ぱっと目線を上げると
福山先輩と目が合った

淳）見た？

貴）はい(笑)

淳）映画ね〜

貴）連れてって下さいよ(笑)

淳）ん？映画？

貴）はい

淳）ん〜まぁ、いいけど

貴）え、ホントですか？

淳）俺の友達もいるかもだけど

貴）あ〜、

友達がいるなら
私いない方がいいかな、？

淳）まぁ、そいつさ
好きな子いるんだけどさ
その子もヒロアカ好きみたいで
その子と行くかも知んないんだよね

貴）そうなんですか？

淳）まぁ、わかんないけど

貴）じゃあ行く人がいなかったら
誘ってください！

淳）わかったよ(笑)

貴）ｯｯ!!

先輩の笑顔に私の胸はドキッと音を立てた

淳）どうした？

貴）あ、いや何もないです、！

淳）？そ

『桜駅〜終点です』

貴）あ、もうですね

淳）そうだな

先輩と一緒なのはここまで
なんか、少し寂しい

貴）(って、何考えてんだろ. . .)

今日の私、おかしいな. . .

ﾌﾟｼｭｰｯ

淳）じゃあ俺こっちだから

貴）あ、はい！

淳）じゃあな

貴）また来週、！

淳）おう！

福山先輩の後ろ姿、

貴）すき. . .

貴）って何言ってんの、！？

いつもより高鳴る胸を気付かない
フリをして私は、階段を駆け上がった