第36話

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2020/12/03 15:20
私は今

ずっと抱きつかれている


大介「ねぇあなた、もう1回言って?!」


「やだうるさい。離れて」


大介「なんでそんな事言うの!ねぇおねがーい!!」


「やだってば、さっき言った」


大介「おかわり!」


任務から帰ってきたさっくんに

おかえりとただ一言言っただけなのにこれだ


亮平「佐久間、あなたまだ病人だから」


ぎゅっと抱きつかれていた手が解けて

私はあべちゃんの方へ倒れた


亮平「腕は平気?」


上からそんな質問が聞こえた


「大丈夫」


亮平「翔太の所で消毒しておいで」


「うん」


大介「うわぁぁぁ!あなたーっ!」


あべちゃんから離れるとまた後ろから大きな声

本当にもう、距離感がお化けだ


「また後でね、さっくん」


大介「ぐふっ」


大袈裟に倒れた彼を見届けてから翔太の元へ

コンコンとノックすると中から


翔太「はーい?」


と声がした

そっとドアを開けると

翔太は消毒液などを準備し始めた


翔太「そこ座ってて」


そう顔で椅子を指すので

そこに大人しく座った


翔太「腕貸して」


彼の手に私の腕を置くと

手際よく包帯を外す

それから冷たい感覚

それは次第にズキズキと痛み出す


翔太「まだ糸は取れないな」


ボソッとそんな声が聞こえて

また優しく包帯を巻き始めた


翔太「ん、いいよ」


「ありがとう」


私がそう言うとニヤッと笑う


翔太「おう」


彼は嬉しそうな顔をしながら私に手を振った


「またね」


翔太「わかったわかった」


言葉と行動が全く逆で

ここにも天邪鬼仲間がいたなんて勝手に思った

消毒も無事に終えた私はある扉の前に来た

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