部屋で休むように言われて
緑の扉から出ると
廊下に見覚えのある顔が
照「お、調子どう?」
「もう大丈夫です」
照「あ、敬語使った」
現場で会った時とはえらい違い
かわいい笑顔で私を見る
照「俺がもっと早く言えばよかった。ごめんな」
私の腕を見てそう言う
「遅くても早くても私は撃たれてた。違う?」
あの狙撃は彼ではなく私を確実に狙っていた
「たぶん長くは生きられない運命なの」
私を狙うということは
私が生きていることを知られたということ
照「阿部に言った?」
「まさか」
照「次は必ず守るから」
私の手をぎゅっと握った
照「繋いだ手は離さないから。あなたも離さないで」
そう言って黄色い扉の中に入っていった
繋いだ手は離さないか
こんな日陰で生きているのに
ぽかぽかと太陽が私を照らして温めるようだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。