第14話

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2020/11/09 16:35
耳元から男の人の声が聞こえるのが慣れない

そして、彼の声は心臓に悪い

優しすぎる


照「あなた、伏せろ!」


肉声で聞こえた彼の声は焦っていた

伏せる・・・?

後ろを向くと

窓ガラスにヒビがはいり真っ白になっていた

思わず顔を守ると右肩に衝撃が走る

そのまま私は床に叩きつけられた


照「あなた!!!」


大きな声で私の名前を呼ぶ彼は

必死にガラスの破片を私の上からはらい落とす


照「あなた!!あなた!!阿部!あなたが!」


彼は焦っている

任務を遂行させなければいけないのに

こんな所で死にそうなやつに構っていては

命の無駄だ


「心配には、およびません、よ?先に、行ってください・・・」


そう言うと

彼は私をひょいっと抱き上げた


照「任務よりあなたが大事だろ」


そんな言葉、私は知らない

任務より・・・人が大事・・・?


照「あなた、黙られると不安なんだけど。俺の名前言える?」


「岩本照」


照「いいじゃん」


にやりと笑った彼は悪そうな顔だ

でも私をしっかり抱き上げてる腕は

優しくてあたたかい


照「俺の事なんて呼んでくれるの?」


「あんた」


照「やだ、照がいい」


「なんでそんな子供みたいな言葉が出てくるんですか」


気づくと2人で笑っていた
周りが見えないのは今後の課題なのかもしれない

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