私はまだ暗い時間に起きた
部屋の前を誰かが歩いていったから
そっと覗くと誰かが階段をおりていった
私はナイフを確認してそっと部屋を出る
涼太「あなた、俺だよ」
ドキッと心臓が嫌な音を立てた
気配は完全に消してたし
足音もたてなかった
9人でなぜ事足りるのか
それがわかった気がした
「お見事です」
涼太「ナイフ置いておいで」
彼は笑顔で言う
本当にお見事
涼太「早く起きたあなたにお手伝いしてもらおうかな」
「料理はできるかどうか・・・」
涼太「そんな緊張しなくていいよ」
「ナイフ、置いてきます」
素早く部屋にナイフを置いて戻る
涼太「おいで」
隣へ導かれる
私は導かれるまま彼の隣へ
涼太「まずは仕込みからだね」
彼は見事な手さばきで料理を始める
涼太「これ切れる?短冊切り」
包丁なんて仕事の時以外持ったことなんてない
恐る恐る握ると彼は笑った
涼太「殺しの才能はあるみたいだね」
こうだよ。と教わり握り方を変える
涼太「怪我しないように。もう片方の手は猫の手」
「ねこ・・・?」
涼太「こう」
指をキュッとしまう
これが猫の手・・・
涼太「にゃーって」
「にゃあ?」
涼太「ふふふ、素直だね」
クスクス笑う彼を見てわかった
「バカにしてる?」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。