第3話

2
26,982
2020/10/27 15:51
pink   side


暗い社長室の中

彼女は蝶のようにひらり、ひらりと舞った

まるでここには重力が存在しないようだった

これはあべちゃんの情報通り

かわいそうに。こんな有能な子が

組織から裏切られているなんて


大介「君、うちに来ない?」


「組織を裏切ることは出来ませんね」


大介「かわいそうに」


君は信じているのにね


「かわいそう、とは?」


大介「君は裏切られてるんだよ。Schwarzでしょ?Schwarzのあなた」


そう言うと彼女は目を見開いた

あぁ、びっくりしてるんだろうな

可愛い顔


亮平『佐久間、左ポケットにふっかが作った薬があるから。スキがあったら刺して』


あべちゃんからの司令がイヤフォンに入った

左ポケットに手を当てると注射器のようなもの

彼女の戦闘スタイルと全く同じじゃないか


大介「了解。」


これは持って帰ってこいの合図

拷問でもするのだろうかワクワクしてくる


「もしもし、」


彼女のイヤフォンにもなにか情報が入ったのだろうか


「shit」


バキッと通信機を足で踏み砕く

ようやく気づいたみたい


「なるほど、あなたの言っていることが正しかったってことですね」


そう言った彼女は自分の毒で死のうとした

俺は慌ててその手から薬品を奪い

変わりに俺の注射器を首に刺してやった


大介「大丈夫、優しく殺してあげる」


「私のセリフ取らないで頂きたいです」


彼女は悲しそうに笑ってから

スっと眠りについた


大介「照」


照『もう着くよ』


彼の名前を呼べばすぐにドアが開く


照「この子?」


床に寝てる彼女をそっと抱き上げ

車に戻った


大介「なんでこんな有能な子が裏切られちゃうんだろうね」


照「なんか知りすぎたとか言ってなかったっけ」


大介「ふーん。かわいそうに」


後ろの席ですやすや眠る彼女をちらっとみて

心がこもってない言葉が零れた

プリ小説オーディオドラマ