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第1話

54
2020/08/12 08:04
京都府宇治市にある小さな喫茶店。
その名も宇治喫茶。
宇治喫茶は、1人の女性が経営しているお店。
町外れにあるので、お店に入店する者は少ないのですが、とある1人の男性は宇治喫茶の常連客。
1ヶ月に1回は宇治喫茶に訪れます。
そんな宇治喫茶を経営している女性と、常連客の男性を覗いてみましょう。





香織
ふわぁ……準備しよ…
私は欠伸を一つし、店内のカーテンを開ける。
ここは私が経営している"宇治喫茶"。
町外れにあるから、お客さんはほぼ来ないけど、たまたま通った方たちは、足を運んでくれることが多い。
お客さんが少ないからこそ、おもてなしはしっかりとする。
それが私のモットーなのだ。
香織
ふんふふん🎶
鼻歌を歌いながら、テーブルを除菌する。
割とお客さんをもてなす準備の時間が、楽しかったりする。
テーブルを綺麗に拭き、テーブルクロスを掛け…やることは沢山あるけど、その分お店が美しくなるのはやはり、見ていて気持ちがいい。
今日もお客さんの為に、美しく。
香織
よし、これでバッチリ
心の中で私はガッツポーズをする。
毎日行っている作業だが、今日はなんだかいつもより店内が綺麗に輝いて見える。
回数を重ねることで掃除の技術も格段と上がったか…?なんてちょっと調子に乗る。
恐らく私の思い違いだと思うが、ちょっとくらいならそう思うのも悪くないかも。
これが、今後私のモチベーションに繋がるならそれでいいから。
香織
よいっ…しょ、今日はどんなお客さんが来るんかな〜
香織
ぎょーさん来てくれるとええなぁ…
なんて独り言を呟きながら、緑茶を注ぐ。
宇治市なだけあって、喫茶店と言っても緑茶や抹茶などを出している。
お客さんが居ない時、開店前、閉店後など私が1人の時でも、お茶を飲むことが多い。
毎日開店前は、緑茶を飲んで、今日の調子を伺う。
今日は割と、調子がいいかもしれない。
香織
我ながらお茶作りには長けてる気ぃする…
小さなマグカップを揺らして、一息つく。
1口飲むと、香ばしい緑茶の味。
私の一番お気に入りの味なのだ。
緑茶以外にも、麦茶や煎茶、抹茶などを飲む時もある。
温かいお茶を飲むと、夏でも心も身体も暖まる。
香織
ふぅ、スッキリした
ペチッ
顔を2回、両手でペチペチと優しく叩く。
身体の余分な物が全て抜けていくような、そんな不思議な気持ちになる。
それに、頬が痛むから目が覚める。

そして、私は緑茶を一気にゴクッと飲み干す。
香織
あ、あつっ、ゴホゴホッ
まだ底の方は熱が残っていたのか、結構熱かった。
猫舌の私は、舌が焼けるまではいかなかったが、むせってしまった。
相変わらず自分のドジさに苦笑しながら、食器を洗うために席を立つ。
香織
自分でもビックリするわ…
香織
毎朝飲んどるのに…‪笑
急に今までの記憶がぶっ飛んだか?なんて思う。
でも、たまにはこういう朝があってもいいかも。
なんて思ったのは、心の隅っこに置いておこう。

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