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2018/03/03

第4話

隠した心

「結婚するんだ。俺」

交差しない視線。
ハッキリとそう言い切った男は、フロントガラスの向こうに何を見ているのだろう。

「そう…なんだ。おめでとう」
「黙ってて…ごめん」

今すぐにでも車を降りたい衝動を必死に抑え、シートベルトを着ける。
“友達”として、動揺した様子を見せるわけにはいかない。

「いいよ…別に」
「…式には、来てくれるよな?」

そんな目で、僕を見ないでくれ。
真っ直ぐな目で、俺を見つめないで。

隠した心の中を見透かされてしまいそうで、怖い。

「あぁ…もちろん」
「よかった。園田もはやくいい人見つけろよ?」
「…ははっ。そうだね」

結婚なんてしない。
彼女なんていらない。
ただ、天衣のそばにいられれば、それだけでよかったのに。

「帰るか」
「…うん」

中学の頃からずっと、君だけを見てきた。
笑った顔も。怒った顔も。泣き顔も。
何もかも、僕は知っている。

「今日は宅飲みにするか」
「そうだね」

でも、この気持ちを伝えたことは、一度もなかった。