第17話

別れと出会い(2) ミナ
8,247
2021/04/06 02:57





車を走らせて着いたのは私達が出会ったカフェ






ここでバイトをしていたナヨンが私に連絡先をくれたのがきっかけだっけな





今はどうなんだろうか。続けているのかな






そう思いながらメニューを眺めていると







背中を指で刺された感覚







一瞬驚いたが、こんなことをするのは一人しかいない




あなた
久しぶり
ナヨン
ナヨン
うん…久しぶり
あなた
なにがいい?私はタピオカ黒糖ミルクにする
ナヨン
ナヨン
相変わらず甘ったるいのね笑
ナヨン
ナヨン
私は抹茶ラテでいいかな
あなた
じゃあ、先座ってて
ナヨン
ナヨン
え、奢ってくれるの?
あなた
そんな訳笑
ナヨン
ナヨン
だよね〜笑




こんなくだらない会話をナヨンとするのはいつぶりだろうか







別れる前にはなんでもいいよ。の一言だったのに







少し懐かしくて、思わず微笑んでしまう







店員さんから変な目で見られてしまったかな








ふたつの飲み物を受け取ってナヨンを探す



ナヨン
ナヨン
あなた〜!こっち!
あなた
おお笑ありがと!


そこから色んな話を聞いた






好きになった人と一時期は付き合ったものの、

後に既婚者だということが発覚し別れたこと。






ここのバイトはやめて、大手携帯会社に採用されたこと






社内では様々な人に言い寄られたこと




















そして…寄りを戻したいとのこと
ナヨン
ナヨン
だめ…かな……
あなた
…………



私の中でまだナヨンの事を忘れ切れていなかったのかもしれない。










ほんの少しだけ、あの頃に戻れるなら。









そう思ってしまった自分がいる。









ミナがいるのに。家で私の帰りを待ってくれているのに。









私は飲みかけていたタピオカをゆっくりと置いて自分の両頬を叩いた









一瞬驚いた顔をしたナヨンは、ふふっと笑って何かを期待するような目で見つめてきた









心苦しいけれど…私にも大切な人ができたから。



あなた
…ごめん。私にはもうナヨンよりも大切な人、できちゃった。
ナヨン
ナヨン
っ……そ…っか…




ナヨンもきっと、分かっていたんだろう。







目元を抑えて上を向いている。








ごめん。そう言いかけた時

ナヨン
ナヨン
待って。謝らないで。
あなた
え…
ナヨン
ナヨン
謝られたら余計に泣きたくなるから。




何も言えなかった。









もしミナがいなかったらすぐにでもYesを言っていただろう。









やっぱりナヨンは強い。私なんかよりも。



あなた
ナヨンは…強いね…
ナヨン
ナヨン
何それ笑




少し赤くなった目









手で顔を仰ぎながら抹茶ラテを1口飲んで



ナヨン
ナヨン
そろそろ帰ろっか
あなた
そうだね
あなた
家まで送るよ
ナヨン
ナヨン
彼女いるのにいいの?笑


そう言って悪戯っぽく笑うナヨン









うさぎみたいな笑顔は相変わらずだね…




あなた
むしろ一人で帰らせた方が怒られるから
ナヨン
ナヨン
そうなの?変わってるね彼女さん
あなた
私の彼女になる人はみんな変わってるよ




そう言うと目が合って一瞬見つめ合う









その後すぐに笑い声が響いて








そんなことの繰り返し。









気が付けばナヨンの家の前で


あなた
懐かしいなぁ…
ナヨン
ナヨン
そうねぇ…
ナヨン
ナヨン
うち、よってく?



今度は真剣な目で私を突き刺すように見ながら言う








笑いは生まれず、かわりに私は息を呑んだ


あなた
…冗談も程々にね
ナヨン
ナヨン
それもそうね。笑
あなた
じゃあ、また会ったら。
ナヨン
ナヨン
その時は友達として、色んな話聞かせてちょうだい
あなた
うん笑




そう言って振り帰り歩き出す








3歩目ほど歩き出したところで後ろから抱きつかれる


あなた
ナヨン…
ナヨン
ナヨン
ちょっと…ちょっとでいいから…
あなた
……




もう何分経っただろうか









ふと見上げればあの夜と同じ澄んだ星空が目に入る



あなた
ナヨン、上見て
ナヨン
ナヨン
…?
ナヨン
ナヨン
わ…綺麗ね……
あなた
うん……




五分ほどしてからナヨンは私から離れて私の背中を叩いた



ナヨン
ナヨン
元気でね!
あなた
…うん。ナヨンも



二人して変な顔をしたもんだから笑うことしか出来なかった
















それから私は家に向かった









さっきよりも気持ち早く飛ばした


























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