第38話

桜散る頃花開く(2) ツウィ
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2021/04/13 11:44





ツウィちゃんを教室まで送り届けて時計を見ると予鈴の五分前









友達らしき女の子がツウィちゃんをドアのところまで迎えに来たから









俺はまたねと言って自分の教室へ戻る









教室についてちょうど予鈴がなった






















5、6時限ともに俺にしては真面目に受けて









昇降口から靴を履いて出ようとした時。









ジョンホが焦った様子で俺を引き止めた





ジョンホ
ジョンホ
あなた!ツウィちゃんがいない!
あなた
急に何?
普通に帰ったんじゃねーの?
ジョンホ
ジョンホ
ツウィちゃんの友達が見ませんでしたかって!
ジョンホ
ジョンホ
どこ探してもいねえんだよ!
あなた
は?靴箱は!?
ジョンホ
ジョンホ
靴ある!お前も探すの手伝え!








なんてことだ。放課後なんて1番油断する時間だ。









どうせ犯人はあいつだろう









体育館裏、トイレ、体育館倉庫、教室、どこを探してもいない。









他には入れるとこなんてねえよ...









外の体育倉庫に居ないことを確認して校舎を見ると









入れないはずの屋上に複数の人影が









そこか。






























ガンッ





あなた
ハッ...何してんだよ
Mob
Mob
な、なんでここが分かったんだよ!
あなた
外から丸見えだあほ


ドアを開けて視界に入ったのは押し倒されているツウィちゃんと、









恐らく無理矢理キスでもしようとしていたのであろう男がいて、









周りには男の取り巻きと思われる男と女たち









......最低だな、ほんと









とりあえず見つかって焦っている男を軽く蹴り飛ばしてツウィちゃんから距離を取らせる









ツウィちゃんを立たせてあげると俺の後ろへ隠れる









既視感。







Mob
Mob
っ......邪魔しやがって!
あなた
ほんとありえないんだけど。まじきめぇ
Mob
Mob
うるせぇな...つか、ツウィちゃん返せよ
あなた
いや無理だろ。きめぇもん
Mob
Mob
さっきからきめぇきめぇって...
Mob
Mob
バカにしてんなよ!




そう言って殴りかかってくる。









そこで俺が...なんてことは無い。俺には武道や格闘技の経験なんてないし。









大人しく殴られとくか...と目を瞑り歯を食いしばっていると









前からドンッと鈍い音がした






Mob
Mob
いっ.......あ...?
あなた
え...まじ?





目を開くとそこには男を見下ろしているツウィちゃん








これは...ツウィちゃんが吹っ飛ばした...?









ポカンとしているとツウィちゃんが一言






ツウィ
ツウィ
先輩方、ご存知ですか?
ここ、監視カメラついてるんですよ
Mob
Mob
は...?






ツウィちゃんが指差す方向に目を向けると割とバレバレの監視カメラ









あれ、こいつこんなとこにあったのに気付かなかったの









と、扉の向こうから複数の足音









ドアが開けばジョンホを先頭にガタイのいい精鋭体育教師たち





ジョンホ
ジョンホ
あなた!大丈夫.......え?





ツウィちゃんが男を見下ろしていて、俺がそのツウィちゃんの後ろにいるこの状況。









さっきまでツウィちゃんが襲われていただなんて想像もできないこの状況





ジョンホ
ジョンホ
えっと...どういう状況?
あなた
いや...後で防犯カメラ見てみ
先生
先生
と、とりあえず!そこのお前ら!生徒指導だ来い!
Mob
Mob
なっ...なんなんだお前!




ツウィちゃんに捨て台詞を吐いたあいつは悔しそうに連れて行かれた。









取り巻き達も連れていかれて、ジョンホは先生たちについて行って、









ここには今俺とツウィちゃんの2人だけ





あなた
えと...大丈夫?
ツウィ
ツウィ
あなたさんこそ...怪我してないですか?
あなた
当たってないから俺は大丈夫だけど...
あなた
強いんだね...?笑
ツウィ
ツウィ
そんなことないですよ...笑
ツウィ
ツウィ
テレビで見たのを見様見真似でやって見ただけです
あなた
それでできるのもすごいけどね、笑





沈黙が広がる。









あんなことがあったあとだし、そりゃ怖くもなる









何か言ってあげられればいいんだろうが...









風の音に包まれる屋上の空間が大きく震えた





ツウィ
ツウィ
あの!!!
あなた
っ!?な、どうした?!?
ツウィ
ツウィ
あ、いやそこまで大したことではないんですけど...
あなた
あ、ほんと...笑
ツウィ
ツウィ
今日、一緒に帰りませんか...?
あなた
...そうだね、ごめんね?守ってあげられなくて
ツウィ
ツウィ
そんなことないです!
ツウィ
ツウィ
ドア開けて助けに来てくれた時ほんとに嬉しかったんですよ?
あなた
そう?笑ならよかったよ。
とりあえず職員室寄って帰ろうか
ツウィ
ツウィ
はい!






職員室へ入れば怒鳴られて萎縮している男









男の取り巻き達は横柄な態度を崩さず、









俺達に気がつけば大きく舌打ちをして睨みつける。









そんな奴らを横目に職員室の扉から出る。































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