第26話

君の知らない物語(1) ミナ
6,612
2021/04/06 02:58






いつも通りみんなでゲームしたり菓子パしたりしていた時。









急に立ち上がって小指をぶつけてうずくまって...









仕切り直すかのように咳払いをした後言っとったな









あなた
今日!ていうか今夜?みんなで星見に行こや!
サナ
サナ
なんやロマンチックやな!笑
モモ
モモ
ええやーん
たまにはええこと言うな〜あなたも
あなた
たまにはってなんや!たまにはって!
ミナ
ミナ
いつもオヤジギャグしか言わんからやろ笑
あなた
そんなことないし〜...






そんなこと言って笑いながら。









田舎やし、どこの道も真っ暗やのに、









バカみたいにはしゃいで、近くの家のおじさんに怒られたこともあったな...笑









私達が集まる時は絶対それぞれがなにか辛いことだったり不安なことがある時。









それを忘れるかのように、押し潰されないように









そんなことを一時でも忘れたいから。バカみたいにうるさくして怒られて。








サナ
サナ
うっ.....わぁ、相変わらずめっちゃ綺麗やな...
あなた
最後4人できたのいつやっけ?
モモ
モモ
多分...中3の受験前くらいやない?
あなた
そんな前やったん爆笑
ミナ
ミナ
もうあれから四年なんや...
早いもんやなぁ
あなた
何ババくさいこと言ってんねん笑
モモ
モモ
綺麗すぎ...星が降ってきそうやな!
サナ
サナ
嫌や〜ももりんキザやわ〜
モモ
モモ
うっさいわ!笑
あなた
ちょっと!静かにしないとまた怒られるで!





相変わらずあの二人は...









そう言うあなたの隣にいるのは心地がいい。









いつからやっけな...あなたのことを追いかけ始めたんは。









...言ったら、驚かんで聞いてくれるかな。









私の...この想い、受け止めてくれる...?























それからまた1年がたった。









まるっきり1年。私たちの都合は合わなくて。









ももりんとさーたんは今日会えなくなってしまった。








私とあなたの二人きり。









1年前来たこの場所は少しも変わってなくて、騒がしかったあの時が昨日の事のように思う。








あなた
なぁ、ミナ?覚えとる?
ミナ
ミナ
ん、何を?
あなた
昔さ、今みたいに二人で来た時、夏の大三角教えたやろ?
ミナ
ミナ
...覚えとらんかも。
あなた
なんでや〜笑
あなた
あれがデネブ。あっちがアルタイルであの辺にベガがあんねん
ミナ
ミナ
雑やな〜笑
あなた
しゃーないやん?私もうろ覚えなんやて笑





もっかい覚え直さな!とか言って指差している









忘れたことなんてない。









帰り道に見上げては何度も思い出して、









二人で行った時のことばっかり頭に浮かんでくる









ミナ
ミナ
あ、あれ?
あなた
ん?どしたん?
ミナ
ミナ
いや...織姫様は分かるんやけど彦星様どれやっけな...
あなた
織姫さんはベガで、彦星さんはアルタイルやで!




そうやって指を差してくれるけど、私には見えへんくて。









これじゃひとりぼっちやん...









楽しそうに星空を眺めている隣の人









それを見て何か言おうとしたけど...なんも言えへんくて。








ほんとは分かってたんや。自分でも。









せやけど見つかっても届かんやろ。織姫様も彦星様も。









天の川に邪魔されて、一年に一回しか会えへんやろ。








そう思うと、なぜだか泣けてくる。









織姫様と彦星様に私達を...投影してしもうたんや。









あかん。泣くな名井南。泣いたらあかん。









そう言い聞かせた。



















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