その日、僕は学校が終わって友達と公園で遊んでいた。
夕方になると、珍しく父、母、兄の家族全員が公園まで迎えに来てくれた。
僕は嬉しくて、遊びを切り上げて友達と別れ、家族と一緒に家に帰った。
家に着いて宿題を始めると、珍しく兄が見てくれた。
ゲームの話なんかをしながら盛り上がり、機嫌よくずっと僕のそばにいた。
母が下の階から呼んでいる。
なんでもない日にハンバーグ?
珍しいな…まあいっか!
そうだ。見たいテレビがあるんだった!
僕はテレビをつける。
おかしいな。
どこのチャンネルも砂嵐だよ。
すると母にリモコンを取られ、
テレビを消されてしまった。
その顔がニコニコしていたので、不気味だった…。
夕食が終わると.......
家族が魅力的な提案をしてきた。
だからちょっと僕はイタズラしたくなっちゃったんだ。
優しくされるといじわるしたくなっちゃうんだよね。
「トイレに行ってくる!」と言って帰って来ないのをやってみよう!
うちのトイレのドアは鍵をかけたままドアを閉めると鍵がかかり、開かずの間になってしまう仕組みなんだ。
僕は近くの物陰に隠れて呼びにきた家族を脅かそうとしていた。
その頃公園では.......
ーー小学生の男の子、山田Aくんが××公園で行方不明になりました。ご家族が心配しております。見つけた方は直ちに警察までご連絡ください.......
ーー小学生の男の子、山田Aくんが××公園で行方不明になりました。ご家族が心配しております。見つけた方は直ちに警察へご連絡ください.......
困惑していると.......
突然ダイニングの扉が勢いよく開き
3人がぞろぞろとトイレの前に歩いてきた。
そのトーンはさっきと全く変わらなかった。
僕は怖くなってきた。
トイレのノブをガチャガチャ回し始めたが、そのうちドアを叩き始めて.......
ドアをぶち破りそうな勢いですごい音が鳴り響いた。
やばいよ.......見つかったら殺される.......
バンッ
ついにドアが破れた。
その家族っぽい何かは2階へ上がって行った。
逃げるなら今だ!
僕は靴も履かず外へ全力疾走で飛び出した。
無我夢中でたどり着いたのはさっき友達と遊んでいた公園。
僕は警察と、家族に事情を話したけど、誰も信じてくれなくてプチ家出として片付けられてしまった。
それから家に帰ると僕が真剣にチャンネルを切り替えるもんだから、兄は僕が嘘を言っているとは思えなかったらしい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。