これはAさんが産婦人科で働いていた時の話です。
ある日、女性が産婦人科にやって来て、「お腹に赤ちゃんがいるか調べて欲しい」と言われました。Aさんはその女性のお腹の中をレントゲンで見てみたのですが、中に赤ちゃんはいませんでした。
「貴方のお腹の中には赤ちゃんはいませんよ」
Aさんがそう伝えると、女性は怒り狂いながら帰って行きました。
何故赤ちゃんがいないと知らせるだけであんなに怒っていたんだろう。でもいないと分かった限りもうあの女の人は来ないだろうし、今日の事は忘れよう。
Aさんはそう思いました。
次の日、またその女性がやって来ました。
「お腹の中の赤ちゃんは元気にしているか調べて欲しい」
と言われました。
(昨日いないって言ったのに…)
そう思いながら下半身を見ると、本当に乳房とお腹が膨れていたのです。Aさんは驚きつつもレントゲンを女性のお腹に当ててみたのですが、やはり赤ちゃんは見つからないのです。
これはいわゆる想像妊娠といい、実際は妊娠していないのに、妊娠を切望したり、適度に意識する婦人まれに起こる状態です。
またAさんは女性に「赤ちゃんはいない」と伝えると昨日と同じ様に怒り狂いながら女性は帰って行きました。
その次の日、また女性がやって来ました。少し女性は興奮気味で「生まれそう」時言って来ました。Aさんは呆れつつも流石に患者を帰す訳にはいかないので見てみると、本当に下半身から血が出ており、更には胎児の頭まで見えていました。Aさんは焦りながら女性の赤ちゃんを出産させました。
赤ちゃんの顔を見てみると、それは人間ではなく
人形でした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。