これは、私がおばあちゃん家にお父さんとお母さんと弟で遊びに行った時だった。おばあちゃんはお昼ご飯に私の大好きな栗ご飯を作ってくれたり本を買ってくれたりした。弟にも汽車のおもちゃを買ってくれていた。
その日の夜、私は喉がかわいたので目を開けると、押し入れのふすまからおじいさんが出てきた。そのおじいさんは座布団に座っていて、この世の者とは思えないくらい顔が青ざめていた。すると私はおじいさんが何か呟いている気がした。声が小さすぎて分からないが口元が
お、お、う
と開いていた。
するとおじいさんは座ったままふすまを閉めた。私はその後リビングへ飲み物を飲みにいくのはやめてずっと布団の中へ潜り込んでいた。
次の日、その事をおばあちゃんに言うと
おばあちゃんもおばあちゃんのお母さんからそのおじいさんの事を聞いた事があるらしい。
その日の夜。またおじいさんが出た。おじいさんが出て行った後、私とお父さんは押し入れを開けてみた。全然開かなかったけど、思いっきりお父さんが開くと、そこには
呪うという字が沢山書かれていたのだ。
その時私はおじいさんが呟いていた言葉が分かった気がした。おおう…ではなく…
の ろ う
その後聞いた話だが、おばあちゃんがこの家に住む前、1人のおじいさんが住んでいたらしい。
だが、おじいさんは孤独死した。
そう、その死んだ場所が
押し入れだった…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。