最近、県内で殺人事件が多発しているらしい。
なんか玄関を開けた時にメッタ刺しにされるんだとか。この前なんて同じマンションの人が亡くなったのだそう。
今度殺されるのは自分かもしれないとその日から思い始めて毎日マンションから出る時、戸締りをちゃんと全部確認して行くのが週間になった。
そんなある日のバイトの帰り道、ちゃんと戸締りをしているか不安になった。
外から帰ってくるとドアはちゃんとしまっていた。まぁ、出かける前に戸締りの確認をちゃんとしたから当たり前だけど。
でも部屋を見渡すとどこか開いている気がする。
ひとつずつ部屋をチェックしていく。
…大丈夫…
全部ちゃんと閉まってた…。
そこでもう一度部屋の中を見渡した。やっぱりどこか開いている気がする。でも気のせいだろう。
よくある事だし…。
解説
自分が玄関を開けた瞬間に滅多刺しにされるので、どんなに戸締りをしたって意味がない。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!